メニュー表や料金表を作りたいけれど、何を書けばいいのか分からない。メニューを増やしたら、かえって選ばれにくくなった気がする。整骨院・整体院の院長から、よくいただく相談です。
結論から言えば、メニュー表・料金表の役割は、患者さんが自分に合うメニューを迷わず選び、安心して予約できるようにすることです。料金表を見る人が知りたいのは、「自分の悩みにはどのメニューが合うのか」「いくらかかるのか」「何をされるのか」だからです。値段を並べただけの表では、その答えが見つからず、比べるのは値段だけになってしまいます。
私は、マーケティング支援会社のコンサルタントとして9年間、93社の集客を支援し、年間延べ4,000件のコンテンツ制作に関わってきました。商品やサービスの見せ方ひとつで、同じ価値でも選ばれ方が大きく変わる場面を、数多く見てきました。この記事では、患者さんに選ばれるメニュー表・料金表の作り方を、具体的な例とともにお伝えします。
それでは、見ていきましょう。
メニュー表・料金表のサンプル集
まずは、整骨院・整体院のメニュー表・料金表の例を5つご覧ください。どれも架空の院の例です。院の施術や患者さんに合わせて、項目の並べ方や見せ方を参考にしてください。料金の金額も、院ごとの価値に合わせて決めてください。
1. 保険と自費を分けた整骨院の料金表

健康保険と自費の施術の両方を扱う整骨院に向いた料金表です。保険の施術と自費の施術を、見出しで上下に分けています。保険の施術は窓口の負担が人によって変わるため、金額は書かずに対象と考え方を説明し、自費の施術は時間と税込みの料金をそろえて並べています。受付や待合の壁に貼り、患者さんが会計の前に目を通せるようにしましょう。
2. 時間で選ぶ整体院のコース表

施術時間の長さでコースを分けている整体院に向いた料金表です。時間と料金を大きく見せ、その下に「どんな人に向いているか」を一行ずつ添えています。初めての人が迷わないよう、真ん中のコースに「初めての方に」と目印をつけ、延長などのオプションはメインのコースと分けて下にまとめています。初回に時間が長くなることと、追加の料金の有無も、忘れずに書いておきましょう。
3. 悩みから選ぶメニュー表

得意な症状がはっきりしている院に向いたメニュー表です。体の部位と悩みの言葉を大きく見せ、料金と時間はその下にまとめています。患者さんが自分の悩みを指でさして選べるので、受付のカウンターに置く卓上のメニュー表や、待合に置くカードとして使いやすい形です。
4. 機器と鍼を扱う整骨院のメニュー表

体外衝撃波(ショックウェーブ)やハイボルテージ、超音波などの機器や、鍼の施術を自費で提供している院に向いたメニュー表です。機器の名前は、患者さんにとってなじみのない言葉です。そこで、機器の名前の下に「どんな痛みの人に向いているか」を平易な言葉で添え、「機器を使った施術」「鍼の施術」のように種類ごとに見出しで分けています。
特殊な機器や鍼を扱う院ほど、料金表に「施術の前にご確認ください」の欄を設けましょう。施術中に痛みを感じることがある、まれに内出血が出ることがあるなど、事前に知っておいてほしいことを書いておくと、患者さんは安心して施術を受けられます。厚生労働省のガイドラインでも、ホームページには自費の施術の主なリスクや副作用を載せることが望ましいとされています。鍼の施術は、はり師の資格を持つ施術者が担当することも明記しておきましょう。なお、整骨院の看板やチラシには、機器の名前や施術の方法を書くことはできません。
5. ホームページの料金ページ

ホームページの料金ページは、スマートフォンで見たときに読みやすい形にしましょう。メニューを1つずつカードに分けて縦に並べると、小さな画面でも料金と時間を読み取りやすくなります。保険と自費はボタンで切り替えられるようにし、ページの下には、料金を確認した人がそのまま予約できるよう、予約と電話のボタンを置いています。
5つのサンプルに共通しているのは、悩みや時間から選べること、内容と時間と料金がそろっていること、税込みで表示していること、初めての人への説明があることです。それぞれのポイントは、このあと「選ばれる料金表の7つのポイント」でくわしく解説します。
料金表をつくる前に決めること
料金表をつくる前に、メニューの中身と料金を、院が提供する価値から決めておきましょう。料金表は、決まったメニューと料金を伝えるための道具です。中身が決まっていないまま見た目を整えても、選ばれる料金表にはならないからです。
| 決めること | 考えること |
|---|---|
| 誰のためのメニューか | どんな悩みを持つ人に来てほしいのか |
| 何をするメニューか | 施術の内容、時間、ほかの院との違い |
| いくらにするか | 提供する価値に見合い、患者さんが通い続けられる料金 |
メニューの組み立て方は整骨院の自費メニューの作り方で、料金の決め方は整骨院・整体院の価格設定の方法で解説しています。
料金表を載せる場所と守るべき決まり
料金表は、院内とホームページの両方に載せましょう。初めての人は来院する前にホームページで料金を確認し、通っている人は院内で次のメニューを選ぶからです。ただし、整骨院は載せる場所によって、料金を書けるかどうかが決まっています。
| 載せる場所 | 整骨院 | 整体院 |
|---|---|---|
| 院内の掲示やメニュー表 | 載せられる | 載せられる |
| 院のホームページ | 載せられる。自費の費用は載せることが望ましいとされている | 載せられる |
| 看板・チラシ・広告 | 料金は書けない | 載せられるが、誤解を招く表現は避ける |
整骨院のホームページには、自費のメニューの内容と費用をはっきり載せましょう。厚生労働省の「あはき・柔整広告ガイドライン」では、院のホームページは原則として広告とはみなさないとしたうえで、自費の施術の内容や通常必要な費用、回数券を売る場合はその内容を、掲載することが望ましい事項に挙げています(厚生労働省「あはき・柔整広告ガイドラインの概要」)。一方で、看板やチラシなどの広告に料金を書くことはできません。くわしくは整骨院・整体院のホームページはどこから広告規制に引っかかる?をご覧ください。
料金は、整骨院・整体院のどちらも、消費税を含めた総額で表示しましょう。事業者が消費者に向けて前もって価格を表示するときは、税込みの総額で表示することが義務づけられているからです。値札、チラシ、ホームページなど、表示する場所を問いません(国税庁「総額表示の義務付け」)。
選ばれる料金表の7つのポイント
メニュー表・料金表をつくるときは、次の7つのポイントを押さえましょう。どれも、患者さんが迷わず選び、安心して予約するために必要なことです。
サンプル集の料金表も、この7つのポイントを押さえてつくっています。形は院のメニューによって変わるため、サンプルをそのまままねるより、7つのポイントを自分の院のメニューに当てはめて考えてください。
1. 悩みから選べるメニュー名にする
メニュー名は、施術の方法の名前より、患者さんの悩みの言葉でつけましょう。患者さんは「〇〇法」や「△△調整」という言葉を聞いても、自分に合うかどうかを判断できないからです。患者さんが料金表を見るとき、頭の中にあるのは自分の悩みです。
| 分かりにくいメニュー名 | 選びやすいメニュー名 |
|---|---|
| 〇〇式トータルバランス調整 | 肩こり・首の痛みの施術 |
| プレミアムコース | 長く続く腰の痛みの施術 |
| Aコース・Bコース | スポーツのコンディショニング |
院独自の施術の名前を使いたい場合は、メニュー名の下に「〇〇式の施術で、肩こりと首の痛みを和らげます」のように、どんな悩みに向いているのかを添えましょう。
2. メニューは3つ前後に絞る
自費のメニューは、まず3つ前後に絞りましょう。選択肢が多いほど、人は選ぶのに時間がかかり、迷ったまま決められなくなるからです。選択肢の数が増えるほど決めるまでの時間が長くなることは、心理学で「ヒックの法則」として知られています(Hick, 1952)。
メニューが10個並んだ料金表は、院長にとっては「何でもできる」という安心でも、患者さんにとっては「どれを選べばいいのか分からない」という負担です。次の手順で絞り込みましょう。
- 今あるメニューを、すべて書き出す
- 過去3か月で、それぞれのメニューを選んだ人数を数える
- ほとんど選ばれていないメニューは、ほかのメニューにまとめるか、料金表から外す
- 院が一番力を入れたい悩みに対応するメニューを、必ず残す
オプションや延長のように、メニューに追加するものは、メインのメニューと分けて、小さく下にまとめましょう。
3. 内容と時間と料金をそろえて書く
すべてのメニューに、「誰に向いているか」「何をするか」「何分か」「いくらか」を、同じ並びで書きましょう。同じ項目が同じ順番で並んでいると、患者さんはメニューどうしを比べやすく、自分に合うものを選びやすくなるからです。
| 書く項目 | 例 |
|---|---|
| メニュー名 | 肩こり・首の痛みの施術 |
| 向いている人 | デスクワークで肩や首がつらい方に |
| 内容 | 姿勢と動きの検査のあと、手技で筋肉の緊張をゆるめ、自宅でできる体操をお伝えします |
| 時間 | 40分 |
| 料金 | 6,600円 |
時間は、施術の時間だけを書くのか、着替えや問診を含めた時間を書くのかを、すべてのメニューでそろえましょう。
4. 税込みの総額で表示する
料金は、患者さんが実際に支払う税込みの総額で書きましょう。総額表示は法律で決められた義務であり、患者さんにとっても、会計のときに「思っていた金額と違う」という不信感を生まずに済むからです。
- 「6,600円」のように税込み価格だけを書くか、「6,600円(税抜6,000円)」のように税込み価格を大きく書く
- 指名料、初回の検査料、延長料など、追加でかかる料金があれば、すべて料金表に書く
- 使える支払い方法(現金、カード、電子マネーなど)を書き添える
5. 保険と自費を分けて書く
整骨院では、健康保険が使える施術と、自費の施術を、料金表の中ではっきり分けて書きましょう。患者さんの多くは、整骨院でどこまで保険が使えるのかを知りません。分けて書かれていないと、「保険で受けられると思っていたのに、自費の料金を請求された」という誤解やトラブルにつながるからです。
| 分けて書くこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 保険が使える施術 | けが(骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷)。骨折と脱臼は、応急手当を除いて医師の同意が必要。窓口での負担額は、保険の負担割合や施術の内容によって変わります |
| 自費の施術 | 慢性的な肩こりや腰痛のケアなど。料金は税込みの定額です |
| 自費になる場合 | 慢性的な肩こりや疲れなど、保険の対象にならない症状は自費になること。料金は施術の前に説明すること |
どの施術に保険が使えるかは、患者さんの症状によって変わります(全国健康保険協会「柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方」)。料金表には一般的な説明にとどめ、「詳しくは初回の問診でご説明します」と添えましょう。
6. 誰に向いているかでおすすめを示す
迷った人のために、「初めての方に」「長く通う方に」のように、どのメニューが誰に向いているかを示しましょう。選択肢を絞っても、初めての人は「自分はどれを選べばいいのか」と迷うことがあるからです。
人は、3つの選択肢が並ぶと、真ん中の選択肢を選びやすい傾向があることが知られています。経営学者のイタマール・サイモンソンは、この傾向を「妥協効果」として示しました(Simonson, 1989, Journal of Consumer Research)。この傾向は、多くの患者さんにとって一番合うメニューを選びやすい場所に置くために使いましょう。高いメニューへの誘導に使えば、患者さんの信頼を失います。おすすめの理由が患者さんのためであれば、選んだあとの満足にもつながります。
7. 初めての人の流れと費用の目安を書く
料金表の近くに、初めての人が来院してから帰るまでの流れと、通う回数の目安を書きましょう。初めての人が料金表を見て一番不安に思うのは、「結局、全部でいくらかかるのか」だからです。
- 初回にかかる時間と料金(問診や検査の時間が加わる場合は、その時間と料金の有無)
- 症状ごとの通う回数と頻度の目安(「最初の1か月は週1回」など)
- キャンセルや変更の決まり
通う回数の目安は、症状や体の状態によって変わるため、「一般的な目安」として書き、初回の問診で一人ひとりに説明しましょう。
料金表でやってはいけない4つのこと
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 初回割引を大きく打ち出す | 安さで来た人は、通常の料金に戻ると通わなくなりやすい。初回だけ来て終わる人が増える原因になる |
| 回数券を料金表の主役にする | 患者さんに必要な回数より先に、まとめ買いを勧めているように見え、信頼を損ねる |
| 「〇回で改善」と効果を約束する | 体の状態は人によって違い、根拠を示せない。整骨院ではホームページに載せるべきでない表現に当たるおそれがある |
| 料金表にない料金を会計で請求する | 追加料金があとから分かると、施術の満足があっても不信感が残る |
回数券を扱う場合は、料金表の主役にはせず、有効期限や返金の決まりとあわせて、契約の内容が分かるように載せましょう。初回割引に頼らない集客の考え方は、整骨院・整体院で初回荒らしが止まらない原因で解説しています。
整骨院・整体院の院長からメニュー表・料金表についてよくいただく質問
料金表に初回の料金を載せるべきですか?
初回に通常と違う料金や時間がかかる場合は、必ず載せましょう。初回は問診や検査で時間が長くなることが多く、その分の料金の有無が分からないと、初めての人は予約をためらいます。初回に何をするのかと、その料金を正直に書きましょう。
料金表はホームページと院内で同じにすべきですか?
同じ内容にそろえましょう。ホームページで見た料金と、院内の料金表や会計の金額が違うと、患者さんは不信感を持ちます。料金を変えたときは、ホームページ、院内の掲示、予約サイト、Googleマップの情報を、同じ日にすべて更新しましょう。
料金を値上げするときは、料金表をどう変えればいいですか?
値上げの日付と新しい料金を、早めに院内とホームページで知らせましょう。突然の値上げは、通っている患者さんの信頼を損ねるからです。伝え方とタイミングは、整骨院・整体院の値上げの告知文で例文とともに解説しています。
メニュー表のデザインは自分で作ってもいいですか?
内容が7つのポイントを満たしていれば、デザインはシンプルで構いません。大切なのは、文字が読みやすく、メニュー名と料金がひと目で分かることです。院内に貼る場合は、患者さんが座る場所から読める大きさで印刷し、実際に座って読めるかを確認しましょう。
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柔道整復師歴3年、コンサルタント歴9年、93社を支援した代表が全案件を担当



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