初回の割引を目当てに来て、2回目には二度と来ない。整骨院・整体院の院長の間で「初回荒らし」と呼ばれる人たちに、悩まされていませんか。
結論から言えば、初回荒らしが起きる原因は、安さで人を集めているからです。安さだけを目的に来た人は、2回目から安さがなくなると分かった時点で、来なくなります。とても単純な理屈です。
初回荒らしをなくす方法は、安さ以外の理由で来てもらうマーケティングの設計に変えることです。この記事では、初回荒らしが起きる理由と、安さ以外の理由で選ばれる院になるための設計をお伝えします。
それでは、見ていきましょう。
整骨院・整体院の初回荒らしとは
まずは、初回荒らしとは何か、なぜ院の経営に響くのかを確認します。
初回の割引やクーポンだけが目当ての人
初回荒らしとは、初回の割引やクーポンを目当てに来院し、2回目以降は来ない人のことです。中には、地域の院の初回割引を順番に使って回る人もいます。

初回荒らしが経営に響く理由
初回荒らしの損失は、割り引いた金額だけではありません。その1人を集めるためにかけた広告費と、施術にかけた院長の時間も、すべて回収できなくなります。例として、1人あたりの損失を計算してみます。

| 損失の中身 | 金額の例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 割り引いた金額 | 4,020円 | 通常5,000円の施術を、初回980円で提供した差額 |
| 広告費 | 5,000円 | ポータルサイトやSNS広告で、新しい患者さん1人を集める費用 |
| 院長の時間 | 5,000円 | その60分で、通常の料金の患者さんを施術できた分 |
| 合計 | 約1万4,000円 | 2回目に来なければ、すべて回収できない |
初回荒らしが月に10人いれば、損失は月に約14万円、1年で約168万円になります。新規の数は増えているのに売上が伸びないと感じるなら、この損失が積み上がっているのかもしれません。さらに、初回荒らしの施術で予約枠が埋まれば、本当に悩んでいる患者さんを受け入れる余裕もなくなります。
初回荒らしが起きる理由
初回荒らしは、偶然集まるわけではありません。院の集め方そのものに理由があります。
安さで集めれば、安さが目的の人が集まる
「初回980円」「初回半額」と安さを前面に出せば、安さを理由に院を選ぶ人が集まります。当然のことですが、ここが初回荒らしの根本です。

安さが来院の理由だった人にとって、2回目から通常の料金になれば、来院の理由そのものがなくなります。2回目に来ないのは、その人の性格の問題ではなく、院がそういう人を集める設計になっているからです。
受け身の人を集める集客の経路
安さに加えて、集め方も、来る人を決めます。ポータルサイトをなんとなく眺めていて目に入った、SNSを見ていたら広告が流れてきた。こうした受け身の経路で来る人は、「安い」「近い」「今空いている」といった、悩みの解決以外の理由で院を選びがちです。

一方、本気で悩んでいる人は、自分で悩みの言葉を検索し、院の考え方や施術の中身を読んだうえで来院します。この人たちは、悩みを解決できるかどうかで院を選んでいるので、通い続けることにも前向きです。
初回の料金を下げても解決しない理由
初回荒らしに悩む院が、さらに初回の料金を下げたり、割引の条件を工夫したりしても、根本的な解決にはなりません。安さで集めている限り、集まるのは安さが目的の人だからです。

2回目に来ない人が増えると、焦って初回をさらに安くする。すると、さらに安さが目的の人が集まり、2回目に来ない人が増える。料金で解決しようとするほど、この悪循環から抜け出せなくなります。
病院が「初回の診察が安い」ことを売りにしないのは、患者さんが安さではなく、悩みを解決してくれるかどうかで選んでいるからです。整骨院・整体院も同じです。そもそも、初回の安さを売りにする必要はありません。
安さ以外の理由で選ばれるマーケティングの設計
初回荒らしをなくすには、安さ以外の理由で来てもらうように、集め方を設計し直しましょう。具体的には、次の5つです。
1 誰の、どんな悩みを解決する院なのかの決定
マーケティングとは、「誰の、どんな悩みを、どう解決するのか」を決めることです。ところが、多くの整骨院・整体院は、ここを決めないまま集客を始めています。
「インスタとチラシ、どちらがいいですか」「どのポータルサイトに載せればいいですか」。集客の相談で多いのは、こうした媒体や手法の質問です。しかし、媒体は戦術にすぎません。誰に向けて、何を伝えるのかという戦略が決まっていなければ、どの媒体を使っても、伝える中身は「近い」「安い」「丁寧」といった、どの院でも言えることになります。違いが伝わらなければ、患者さんは料金で院を比べます。これが、安さで集めるしかなくなる本当の理由です。

戦略は、次の3つを順に決めましょう。
- 誰の:どんな人の悩みに向き合う院なのか。たとえば「部活でけがをした中高生」「デスクワークで腰を痛めた40代」
- 何を:その人のどの悩みを、どう解決するのか。たとえば「競技に早く戻れるよう、けがの状態と復帰までの道のりを示す」
- なぜこの院か:ほかの院にはない、選ばれる理由は何か。院長の経歴、得意な施術、これまでの経験
この3つが決まれば、ホームページに何を書くか、どの媒体を使うかは、自然と決まります。
差別化の軸の決め方は、整骨院・整体院の差別化戦略で、手順を追って解説しています。
2 悩みを持つ人が、自分で調べてたどり着く入口
本気で悩んでいる人に来てもらうには、その人が自分で調べたときに見つかる入口が必要です。具体的には、次の3つです。

| 入口 | どんな人が来るか |
|---|---|
| SEO | 「地域名+悩み」で検索し、院のホームページを見つけた人 |
| MEO | Googleマップで近くの院を探し、口コミと院の情報を比べた人 |
| AI検索 | ChatGPTやGoogleのAIに「〇〇に強い院は?」と聞き、すすめられた人 |
どの入口から来た人も、最後は院のホームページで、院の考え方と施術の中身を読んでから予約します。つまり、ホームページは3つの入口すべての受け皿です。AI検索への対策は、LLMO対策やAIO対策とも呼ばれます。
広告で押し出す施策ばかりでは、この入口は作れません。ポータルサイトやSNS広告は、出している間しか人を集めず、集まるのも受け身の人が中心です。自分で調べる人の入口は、悩みごとのページと、選ぶ理由が伝わるホームページを積み上げて、はじめてできあがります。
悩みごとのページで新規予約を増やした事例は、整骨院・整体院の集客成功事例で紹介しています。
3 料金ではなく、院の考え方と施術の中身で伝えるページ
入口から来た人に選ばれるかどうかは、ページの中身で決まります。料金の安さを書いたページは安さが目的の人を集め、院の考え方と施術の中身を書いたページは、それに共感する人を集めます。
ページには、次のような、その院でしか書けない中身を書きましょう。
- その悩みについて、院がどう考え、どう体を見ていくのか
- 初回に何をするのか。検査、説明、施術の流れと時間
- 院長がこれまでに向き合ってきた患者さんや、自分自身の経験
- 通う回数と期間の目安、通常の料金
料金は隠さず、通常の料金をはっきり書きましょう。安さを売りにしないことと、料金を隠すことは違います。なお、実際よりお得に見せる表示は景品表示法で禁止されているので、料金の表示は実際と食い違いがないようにしてください。
4 初回の説明と、納得したうえでの通院計画
初回は、施術をするだけの場ではなく、患者さんと通院の計画を共有する場です。悩みを解決したくて来た人でも、初回に何も説明がなければ、2回目に来る理由が分かりません。
大切なのは、売り込むことではなく、伝えるべきことを伝えることです。次の流れで、患者さんが理解し、納得したうえで、次の予約を決めてもらいましょう。
- 今の体の状態を説明する:検査の結果と、痛みの原因として考えられることを、分かる言葉で伝える
- 通院の計画を示す:どのくらいの間隔で、何回くらい通うと、どんな状態を目指せるのかを示す
- 費用の目安を伝える:計画どおりに通った場合の費用を、総額で伝える
- 患者さんの考えを聞く:仕事や生活の都合を聞き、無理のない計画に調整する
- 次の予約をその場で決める:納得してもらえたら、次の来院日をその場で決める
回数券をすすめる場合は、無理な販売にならないよう注意してください。回数券の考え方は整骨院・整体院の回数券で解説しています。
5 忘れられる前の、初回のあとの連絡
人は、思っている以上に早く忘れます。心理学者エビングハウスの実験では、覚えたことの多くが、1日たつまでに急速に忘れられていくことが示されています。初回の説明も、帰宅して日常に戻れば、少しずつ忘れられていきます。
一方で、人は、接する回数が多い相手ほど親しみを感じます。心理学で「単純接触効果」と呼ばれる現象です。院から連絡が届くたびに、患者さんは院のことを思い出し、親しみを深めていきます。
忘れられる前に、院から連絡を入れましょう。
- 初回の翌日か2日後に、体の調子をたずねる連絡を入れる
- 次の来院日の前日に、予約の確認を送る
- LINEの公式アカウントで、自宅でできるケアや、通院のタイミングを案内する
連絡は、売り込みではなく、体を気づかう内容にしましょう。「その後、痛みはいかがですか」という一言が、2回目の来院につながります。
整骨院・整体院の初回荒らしについてよくいただく質問
最後に、よくいただく質問に答えます。
初回の割引は、やめたほうがいいですか?
初回の安さを、集客の売りにするのはやめましょう。
安さを前面に出す限り、安さが目的の人が集まり続けます。初回の料金は、通常の料金との違いを大きく見せるのではなく、初回に何をするのかを伝えることに力を入れてください。
割引なしで、新規の患者さんは来ますか?
来ます。本気で悩んでいる人は、料金だけで院を選んでいません。
悩みの言葉で検索し、院の考え方や施術の中身を読んで来院する人は、割引がなくても予約します。
ポータルサイトはやめたほうがいいですか?
すぐにやめる必要はありませんが、ポータルサイトだけに頼る集客からは抜け出しましょう。
自院のホームページで、悩みを持つ人に見つけてもらえるようになってから、ポータルサイトへの依存を減らしていくのが安全です。
初回荒らしの人は、断ってもいいですか?
来院した人を、初回荒らしかどうかで見分けるのは難しく、すすめません。
断るより、安さで集めない設計に変えることに力を入れましょう。集め方が変われば、来る人も変わります。
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安さ以外の理由で選ばれるマーケティングの設計
悩みごとのページと、院の考え方が伝わるホームページで、安さではなく院の価値で選ばれる仕組みを作ります。
1位推薦率77.1%、新規予約は約2.6倍


支援した東京都足立区の接骨院は、AIに症状ごとに院を探す質問をした188件のうち145件で1番目に推薦され、ホームページ経由の新規予約が、作り直す前の月25件から月64件へと約2.6倍に増えました。
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