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整骨院・整体院の新規開業の集客方法|開業前から始める5つの準備

松澤 大輔執筆者松澤 大輔株式会社ネイク 代表取締役
ドアに掛かった「OPEN」の札

開業したのに、思ったほど患者さんが来ない。ホームページもGoogleマップも整えたのに、予約の電話が鳴らない。開業したばかりの整骨院・整体院の院長から、よくいただく相談です。

結論から言えば、新規開業の集客は、開業前に「声をかければ来てくれる人」をどれだけ積み上げてきたかで、ほとんど決まります。開業したばかりの院は、知名度も口コミも検索での評価もゼロから始まり、Webの集客が効き始めるまでには時間がかかります。その間に最初の患者さんを連れてきてくれるのは、院長がそれまでの人生で築いてきた人とのつながりだからです。

私は、マーケティング支援会社のコンサルタントとして9年間、93社の集客を支援し、2026年1月には私自身も独立して会社を立ち上げました。支援の現場で見てきたのは、開業時の集客で差がつくのは手法の工夫より、それまでの積み重ねだということです。この記事では、中長期の視点に立ち、新規開業にあたって本当に準備すべきことをお伝えします。

それでは、見ていきましょう。

開業直後の集客が難しい3つの理由

開業直後の院は、集客に必要なものが何もない状態から始まります。日本政策金融公庫の「2024年度新規開業実態調査」では、開業時に苦労したこととして48.1%が「顧客・販路の開拓」を挙げ、調査の時点(開業から平均15.3か月)で苦労していることでも47.7%で最も多くなっています(日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」、業種を問わない調査)。業種全体で見ても、開業した人の半数近くが、お客さまを集めることに苦労しているのです。

整骨院・整体院では、さらに競争の厳しさが加わります。柔道整復の施術所は全国に5万924か所あり(厚生労働省「令和6年衛生行政報告例」)、この数には整体院は含まれず、整体院まで含めれば、さらに多くの院がひしめいています。新しく開いた院は、すでに地域に根づいた院の中に後から加わることになります。集客の手法を考える前に、まず難しさの正体を知っておきましょう。

理由 開業直後の状態
1. 知られていない 地域の人は、院ができたことも、院長がどんな人かも知らない
2. 信頼の材料がない 口コミも、施術の実績も、患者さんの声もまだない
3. Webの集客がまだ効かない ホームページが検索で上位に出るまでには、私の経験では数か月から1年ほどかかり、Googleマップも口コミがないうちは上位に出にくい

3つの理由に共通しているのは、どれも時間と積み重ねでしか解決できないということです。開業してから慌てて手を打っても、すぐには結果が出ません。だからこそ、開業前の準備が何より大切になります。

開業時の集客は地上戦から始める

開業時の集客は、Webや広告による「空中戦」より先に、人と直接つながる「地上戦」から始めましょう。開業直後は空中戦の効果がまだ出にくく、最初の患者さんを最も早く連れてきてくれるのは地上戦だからです。

地上戦 空中戦
主な手段 知人への声かけ、紹介、地域の集まり、挨拶回り、チラシ ホームページ、Googleマップ、SNS、広告
効果が出るまで 声をかけたその日から 数か月から1年ほど
広がり方 一人ひとりと深くつながる 多くの人に広く届く
開業時の役割 最初の患者さんと口コミをつくる 中長期で新しい患者さんを集め続ける

地上戦と空中戦は、両方を組み合わせて使います。地上戦で集まった最初の患者さんの満足が、口コミや紹介、SNSでの反応となり、空中戦の効果を押し上げるからです。

例えばGoogleマップでは、検索結果の順位が「関連性」「距離」「知名度」で決まり、知名度は口コミの数や評価などをもとに判断されると、Google自身が説明しています(Googleビジネスプロフィール ヘルプ「Googleのローカル検索結果のランキングを改善するヒント」)。開業直後に地上戦で来てくれた患者さんの口コミが、そのままGoogleマップでの知名度になり、まだ院を知らない人に見つけてもらう力になるのです。地上戦は、空中戦を早く軌道に乗せるためのブースターです。

開業時の集客の循環。声をかける(リストの人に開業を知らせる)→来院する(最初の患者さんになる)→満足する(施術と対応に納得する)→広がる(口コミ・紹介・SNSで伝わる)→新しい人が加わる。最初に声をかけられる人がいるほど循環は早く回り出す
最初に声をかけられる人がいるほど、循環は早く回り出す

開業前の準備で最も大切なのはリスト

開業前の準備で最も大切なのは、開業を知らせたら来てくれる人のリストを持っておくことです。リストがあれば、開業初日から声をかけて来てもらえ、その人たちの満足が口コミや紹介として広がっていきます。リストがない状態で開業すると、どれだけ集客の手法を工夫しても、ゼロから一人ずつ信頼を積み上げるしかありません。

開業前に用意するリストとは、院長自身がこれまでの人生で築いてきた、人とのつながりのことです。

つながりの種類 例
身近な人 家族、親戚、友人、学生時代の仲間
仕事の仲間 前の職場の同僚、修業先でお世話になった人、同業の仲間
地域のつながり スポーツチーム、子どもの学校や習い事、町内会、商店会
趣味や活動のつながり ジムやランニングの仲間、サークル、SNSでつながっている人
近い業種の人 ジムのトレーナー、美容室、整形外科や介護の事業所など、患者さんを紹介し合える人

まずは、開業を知らせたい人の名前を、紙やスプレッドシートにすべて書き出してみましょう。目安として、100人を書き出すことを目標にしてください。書き出してみると、自分にどれだけのつながりがあるのか、どの分野のつながりが足りないのかが、はっきり見えてきます。

名前 つながり 連絡の手段 伝えた日 反応
山田さん 少年野球チームの保護者 LINE 開業3か月前 プレオープンに来る
佐藤さん 前の職場の同僚 電話 開業3か月前 知人を紹介してくれる
鈴木さん 近所のジムのトレーナー 直接会う 開業2か月前 ジムにチラシを置いてくれる

伝えた日と反応まで記録しておくと、誰にまだ伝えていないか、誰が応援してくれているかが一目で分かり、開業後のお礼や報告にも使えます。

ただし、勤めていた院の患者さんの連絡先を使って開業を案内してはいけません。勤め先が預かっている個人情報を持ち出して使うことになり、勤め先との信頼関係や、個人情報の扱いの面で大きなトラブルになるからです。リストに入れるのは、院長が個人としてつながっている人だけにしましょう。

開業前から始める5つの準備

新規開業の集客は、開業の1年前から次の5つの準備で進めましょう。開業が近づくほど、内装や手続き、資金のやりくりで手が回らなくなります。時間に余裕がある時期から始めておくことが、そのまま開業時の集客の差になるからです。

開業前から始める準備の時系列。開業1年前〜:リストをつくり院の価値を決める。開業3か月前〜:開業を知らせWebの土台を整える。開業直前:プレオープンで最初の患者さんを迎える。開業後3か月:患者さんの声をWebにつなげる。集客は開業の1年前から始まっている
集客は、開業の1年前から始まっている

1. つながりを広げてリストを育てる

開業の1年前からは、リストを書き出すだけでなく、つながりそのものを広げていきましょう。リストは、開業の直前に慌ててつくれるものではないからです。

広げるつながりには、親しい人に加えて、顔見知り程度の人も含めましょう。社会学者マーク・グラノヴェッターは、転職のきっかけとなる情報が、親しい友人より、たまに会う程度の知人から届くことが多いことを示し、顔見知り程度のつながりが持つ力を「弱い紐帯の強さ」と呼びました(Granovetter, 1973, American Journal of Sociology)。親しい人どうしは同じ情報を持っていることが多く、新しい情報や新しい人を運んでくれるのは、少し離れたつながりだからです。開業の知らせを地域に広げてくれるのも、同じように、顔見知り程度の人たちです。

  • 地域のスポーツチームや大会に、トレーナーやボランティアとして関わる
  • 町内会や商店会、地域のイベントに顔を出す
  • SNSで、自分の考えや日々の学びを発信し、つながりを増やす
  • 近い業種の人に会い、開業の予定を伝えておく

目安として、週に1回は、院長自身が地域の人と顔を合わせる予定を入れましょう。1年続ければ、50回以上、新しい人と出会う機会がつくれます。

大切なのは、相手の役に立つために関わることです。開業を知らせたときに「あの人の院なら行ってみたい」と思ってもらえるかどうかは、それまでの関わり方で決まります。

2. 誰のどんな悩みを解決する院かを決める

開業する前に、誰のどんな悩みを解決する院なのかを、ひと言で言えるようにしておきましょう。リストの人に声をかけるときも、紹介してもらうときも、「どんな院なのか」がはっきりしていなければ、相手は誰に勧めればいいのか分からないからです。

例えば、「地域のスポーツをする子どもと、その親のけがと痛みを診る院」「デスクワークの肩こりと腰痛に悩む人が、仕事帰りに通える院」のように、相手の顔が浮かぶ言葉にします。院の強みや自費メニューの考え方は、整骨院・整体院の自費メニューのつくり方でも解説しています。

3. 開業を一人ひとりに知らせる

開業の3か月前からは、リストの人に、一人ひとり自分の言葉で開業を知らせましょう。一斉送信の案内より、個別の連絡のほうが、受け取った人の心に残り、実際に来院や紹介につながりやすいからです。

時期 すること
開業3か月前 近い人から順に、開業の予定と院の考え方を直接伝える
開業1か月前 リストの全員に、開業日と場所、予約の方法を連絡する。近所への挨拶回りをする
内装工事の期間 店の前に開業日を知らせる掲示を出し、通りがかりの人に知ってもらう
開業2週間前 近所にチラシを配り、院の存在と開業日を知らせる

個別に知らせるときは、定型文を送るより、相手との関係を踏まえた自分の言葉で伝えましょう。例えば、次のような伝え方です。

〇〇さん、ご無沙汰しています。実は12月に、△△駅の近くで整骨院を開くことになりました。少年野球のときにお世話になったように、地域のスポーツをする子どもたちのけがを支えられる院にしたいと思っています。開業前に、近しい方に先に院を見ていただく日を設けるので、よろしければお越しください。

整骨院の場合、店の前の掲示やチラシは広告にあたるため、書ける内容が法律で決められています。チラシの作り方と書ける内容は、整骨院・整体院のチラシ集客で解説しています。

4. Webの土台を開業前に整える

ホームページとGoogleマップは、開業前に整えておきましょう。空中戦は効果が出るまでに時間がかかるため、開業日から始めると、始めるのを遅らせた分だけ効果が出るのも遅れるからです。また、声をかけた人や紹介された人は、来院する前に院の名前を検索して、ホームページやGoogleマップを確認します。

  • ホームページ:開業の1〜2か月前には公開し、院長の顔と考え方、通いやすさの情報を載せる
  • Googleマップ:Googleビジネスプロフィールに開業日を入れてオーナー確認を済ませると、開業日の90日前からGoogleに院が表示される(Googleビジネスプロフィール ヘルプ)
  • SNS:内装工事の様子や開業準備を発信し、開業前からつながりのある人に経過を見てもらう。整骨院の場合、SNSの投稿も内容によっては広告として扱われるため、施術の効果や料金を打ち出さないようにする

なお、Googleビジネスプロフィールは、開業前は口コミや写真を投稿してもらえません。口コミは開業してから集めていきます。

5. プレオープンで最初の患者さんを迎える

開業日の前に数日間のプレオープンを設け、リストの人を招いて施術を受けてもらいましょう。本番の前に、施術の流れや予約、会計の段取りを確認でき、開業日には「すでに院を知っている人」がいる状態でスタートできるからです。

  • 招くのは、家族や友人、地域でお世話になっている人など、リストの中でも近い人から
  • 施術のあとに感想を聞き、説明の仕方や院内の動線など、改善点を開業日までに直す
  • 気に入ってもらえたら、身近で困っている人がいれば紹介してほしいと伝える
決めること 目安
期間 開業日の直前の2〜3日間
招く人数 1日に受けられる人数の範囲で、一人ひとりと話す時間を取れる人数
確認すること 予約の受け方、問診、施術、会計、次回の予約までの流れ
聞くこと 分かりにくかった説明、待ち時間、院内で気になったところ

整骨院の場合、プレオープンで施術した日が、施術所の開設日として扱われることがあります。柔道整復師法では、施術所を開設したら10日以内に保健所へ届け出ることになっており、構造や設備の基準もあります。物件が決まった段階で保健所に相談し、プレオープンの日程と届出の時期をあわせて確認しておきましょう。

プレオープンは、リストの人を個別に招く場にしましょう。一般向けに割引を打ち出して人を集めると、安さで来た人は通常の料金に戻ったときに離れていきやすいからです。

開業後3か月で地上戦を空中戦につなげる

開業してからの3か月は、地上戦で来てくれた患者さんの満足を、空中戦の力に変えていく時期です。開業直後の患者さんの声が、Googleマップの口コミやホームページの患者さんの声として積み上がり、まだ院を知らない人に届くようになるからです。

すること 具体的な内容
口コミを集める 通ってくれている患者さんに、Googleマップへの口コミをお願いする
紹介をお願いする 満足してくれた患者さんに、身近で困っている人がいれば紹介してほしいと伝える
ホームページを育てる 患者さんによく聞かれる質問や、施術の考え方をページに書き足していく
数字を記録する 新しい患者さん全員に、問診票で何を見て来院したかを聞き、毎月集計して、効いている集客に力を注ぐ

口コミをお願いするときは、Googleのポリシーを守りましょう。割引や無料の施術と引き換えに口コミを頼むことや、その場で書くよう求めることは、Googleのポリシーで禁止されています(マップのユーザー作成コンテンツに関するポリシー)。無料や割引と口コミが結びついていると受け取られないよう、プレオープンで無料や割引で施術を受けた人には、口コミをお願いしないようにしましょう。口コミの集め方は、整骨院・整体院の口コミの増やし方で解説しています。

リストがないまま開業するなら

リストがほとんどない状態で開業する場合は、集客が難しいことを正直に受け止め、時間をかけて地上戦を積み上げましょう。開業してからも、つながりは広げられます。ただし、開業前に比べて時間も資金も限られるため、次のことを意識してください。

  • 開業の時期を見直す:まだ開業前なら、地域とのつながりをつくる期間を確保するために、開業を遅らせることも選択肢に入れる
  • 運転資金に余裕を持つ:患者さんが増えるまでの期間を乗り切れるよう、数か月分の家賃や生活費を確保しておく
  • 自分の足で地域に出る:近所への挨拶回り、地域の行事への参加、近い業種の人への訪問を、毎週の予定に組み込む
  • 来てくれた一人を大切にする:最初の一人ひとりの満足が、次の紹介と口コミを生む

集客の全体像は、整骨院・整体院の新規集客を増やす30の方法で紹介しています。

開業時の集客でやってはいけない4つのこと

やってはいけないこと 理由
勤めていた院の患者さんに案内を送る 勤め先が預かっている個人情報の持ち出しになり、大きなトラブルになる
開業記念の大幅な割引で人を集める 安さで来た人は通常の料金に戻ると離れやすい。整骨院は料金や割引を広告に書けない
広告だけで患者さんを集めようとする 広告は止めると患者さんも止まる。資金に余裕のない開業直後ほど負担が重い
無料や割引と引き換えに口コミを頼む Googleのポリシーで禁止されており、口コミが削除されたり、プロフィールに制限がかかったりすることがある

整骨院・整体院の院長から開業時の集客についてよくいただく質問

開業の準備はいつから始めればいいですか?

開業の1年前から始めましょう。リストを育て、院の価値を決める準備には時間がかかるからです。開業まで1年を切っている場合も、今日からリストの書き出しを始めてください。

開業前からSNSを始めたほうがいいですか?

開業前から始めましょう。内装工事や開業準備の様子を発信すると、つながりのある人が開業を応援してくれ、開業日を知ってもらうきっかけになります。ただし、SNSはつながりを広げる手段の一つです。SNSだけで開業時の集客を支えようとせず、直接の声かけと組み合わせましょう。

知り合いに口コミを書いてもらってもいいですか?

実際に施術を受けた人に、感じたことをそのまま書いてもらうのは問題ありません。ただし、無料や割引と口コミを結びつけること、施術を受けていない人に頼むこと、良い口コミだけを選んで頼むことは、Googleのポリシーに反します。プレオープンで無料や割引で施術を受けた人には頼まず、院のスタッフや家族に書いてもらうこともやめましょう。

開業直後に広告を出すべきですか?

広告は、地上戦とWebの土台を整えたうえで、足りない分を補うために使いましょう。開業直後は資金の余裕が少なく、広告に頼り切ると、止めたときに患者さんも止まってしまうからです。広告費の目安は、整体院・整骨院の広告費はいくらが適正?で解説しています。

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柔道整復師歴3年、コンサルタント歴9年、93社を支援した代表が全案件を担当

柔道整復師免許
平成24年4月3日に柔道整復師免許を取得

クライアント事例|東京都足立区アスリートゴリラ鍼灸接骨院

クライアント事例|岩手県矢巾町がじゅまる整体院

代表の松澤は、柔道整復師(平成24年取得)として接骨院で3年間、施術の現場に立ちました。その後、マーケティング支援会社のコンサルタントとして9年間、93社の集客を支援し、年間延べ4,000件のコンテンツ制作を支援してきました。セミナーの登壇は30回以上です。施術の現場とマーケティングの両方を知る代表が、最初のご相談から支援の最後まで、直接担当します。

AI検索における1位推薦率77.1%、新規予約は約2.6倍

07_AI順位別の推薦率

予約数_7月と8月

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口コミ37件でGoogleマップ1位、広告費0円で新規集客は月30件以上

Googleマップで「矢巾 整体院」と検索した画面。がじゅまる整体院が★4.6・口コミ37件で一覧の1番目に表示され、★4.9・口コミ177件の院より上にある

岩手県矢巾町の整体院は、口コミ37件で、口コミが177件の院を抑えて「矢巾 整体院」のGoogleマップで1番目に表示されています。近隣7エリアで上位に表示され、広告費0円で、新規集客は月30件以上です。

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