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整体院・整骨院の開業ロードマップ|開業を決めてから開業後3か月までにやること・費用・手続きのすべて

松澤 大輔執筆者松澤 大輔株式会社ネイク 代表取締役
開業前の施術室に置かれた施術ベッド

整体院や整骨院を開業したい。でも、何から始めればいいのか、いくらかかるのか、誰に相談し、どんな手続きをすればいいのかが分からない。独立を考えている先生から、よくいただく相談です。

開業までにやることは、資金、物件、内装、集客、届出と多岐にわたります。順番を間違えると、物件を契約した後で設備の基準を満たさないと分かったり、開業日になっても患者さんに知られていなかったりします。開業を成功させるいちばんの近道は、やることを時期ごとに並べた全体の地図を、最初に手に入れることです。

日本政策金融公庫の「2024年度新規開業実態調査」では、開業時に苦労したこととして「顧客・販路の開拓」を挙げた人が48.1%にのぼり、開業から平均15.3か月たった時点でも47.7%と、苦労したことの1位です。手続きや内装に追われて、患者さんに知ってもらう準備が後回しになりやすいことを示しています。

私は、マーケティング支援会社のコンサルタントとして9年間、93社の集客を支援してきました。この記事では、開業を決めてから開業後3か月までにやることを、8つのステップのロードマップにまとめました。費用、手続き、相談先、注意点も、それぞれのステップの中でお伝えします。上から順に進めれば、開業までの準備がひととおり終わる構成です。

それでは、見ていきましょう。

整体院・整骨院の開業ロードマップの全体像

開業までの準備は、次の8つのステップで進めます。時期は目安です。物件がすぐに見つかる場合や、勤めている院を辞める時期が決まっている場合は、前後させて使ってください。

整体院・整骨院の開業ロードマップの図。12か月前に開業の形とターゲットを決める、9か月前に事業計画を立てて資金を準備する、6か月前に物件を決める、4か月前に内装と設備を整える、3か月前に集客の準備を始める、開業前後に届出と手続きを済ませる、1か月前から開業日に開業を知らせて予約を受ける、開業後3か月は数字で振り返り改善する
開業を決めてから開業後3か月までの8つのステップ
ステップ 時期の目安 やること
STEP1 12か月前 開業の形を決める、ターゲットと提供価値を決める、開業日と退職の時期を決める
STEP2 9か月前 収支計画を立てる、開業費用を見積もる、創業計画書を書く、資金を準備する
STEP3 6か月前 地域を決める、物件を探す、契約前に条件を確かめる、契約する
STEP4 4か月前 内装業者を選ぶ、内装を決める、消防の届出、看板、設備、予約と会計の仕組み
STEP5 3か月前 料金とメニュー、ホームページ、Googleビジネスプロフィール、声をかける人のリスト
STEP6 開業前後 施術所の開設届、受領委任の届出、税金の届出、保険、事業用の口座
STEP7 1か月前〜開業日 開業を知らせる、予約を受け付ける、口コミを頼む準備
STEP8 開業後3か月 計画と実績を比べる、離れている場所を直す

STEP1 開業の形とターゲットを決める(12か月前)

最初のステップは、どんな院を開くのかを決めることです。ここで決めたことが、資金、物件、内装、集客のすべての土台になります。

1. 開業の形を決める

開業の形は、まず柔道整復師の資格があるかどうかで決まります。資格があれば整骨院(接骨院)として、資格がなければ整体院として開業します。資格がある場合は、さらに保険を扱うかどうかを決めます。

整骨院(接骨院) 整体院
施術する人の資格 柔道整復師(国家資格) 国家資格はない
保険の取り扱い 骨折、脱臼、打撲、捻挫などのけがは、条件を満たせば対象 すべて自費
保健所への届出 開設してから10日以内に開設届 なし
設備の基準 施術室6.6平方メートル以上、待合室3.3平方メートル以上など 法律の基準はない
名乗れる名称 整骨院、接骨院 整体院(整骨院、接骨院は使えない)

保険を扱う整骨院を開く場合は、受領委任を扱う施術所の「施術管理者」になる必要があります。施術管理者になるには、柔道整復師としての実務経験と、施術管理者研修(16時間以上、2日間程度)の修了が必要です。地方厚生局の案内では、実務経験の期間は段階的に延び、2024年(令和6年)4月以降の届出では3年間とされています。開業したい時期に、実務経験の期間が足りているかを最初に確かめましょう。

保険を扱わず、自費だけの整骨院として開く選び方もあります。その場合は、地方厚生局への受領委任の届出は不要ですが、患者さんにとっては窓口での負担が大きくなります。STEP2で、自費の料金で成り立つかどうかを計算して決めましょう。

2. ターゲットと提供価値を決める

次に、「誰の、どんな悩みを解決する院なのか」を決めましょう。院を探す人は、いくつかの院を見比べて、自分に合う院を選びます。「体のつらさを持つ人なら誰でも」という院は、比べられたときに選ばれる理由がありません。

決めるのは、次の4つです。

  • 場所:どこで開く院か(駅の近く、住宅街、郊外など)
  • ターゲット:どんな年代と暮らしの人か(デスクワークの会社員、子育て中の母親、部活動をする中高生など)
  • 悩み:その人のどんな悩みを解決するか(肩や腰のつらさ、産後の骨盤の不調、スポーツのけがなど)
  • 提供価値:その人に何を届けるか(仕事帰りに体を整える時間、子ども連れで通える安心、早く競技に戻るための施術など)

この4つは、STEP2の創業計画書の「取扱サービス」の欄、STEP3の物件選び、STEP5のホームページの言葉にそのまま使います。決めたら、勤めている院でその条件に当てはまる患者さんの顔が思い浮かぶかを確かめましょう。くわしい考え方は、整骨院・整体院の差別化でお伝えしています。

3. 開業日と退職の時期を決める

開業日の目標を決め、そこから逆算して、勤めている院を辞める時期を相談しましょう。引き継ぎの期間を考えると、退職の相談は早めにするのが礼儀です。勤めている間に、次の2つを進めておきます。

  • ターゲットにしたい患者さんの悩みと、よく聞かれる質問をメモに集める:開業後のホームページの記事や、施術の説明の材料になる
  • 開業の資金として、自己資金を貯める:STEP2で、自己資金と借りる金額の割合を決めるときの元になる

注意したいのは、勤めている院の患者さんの名簿や連絡先です。患者さんの情報は勤めている院が取得し管理しているものなので、持ち出して開業の案内に使うことはやめましょう。個人情報の扱いの問題になるだけでなく、勤めていた院との関係も悪くなります。

STEP2 事業計画を立てて資金を準備する(9か月前)

院の形とターゲットが決まったら、お金の計画を立てます。月にいくら売上があれば院が続けられるのか(収支計画)、開業までにいくらかかり、どう用意するのか(資金計画)を数字で出し、創業計画書にまとめます。

1. 収支計画を立てる

収支計画は、月の売上から経費を引いて、利益がいくら残るかを計算するものです。決算書でいう損益計算書(PL)にあたります。日本政策金融公庫の創業計画書でも、「事業の見通し(月平均)」として、開業当初と1年後の2つの時点で書く形になっています。

整体院・整骨院の売上は、「1回の施術の単価×月の施術回数」で計算します。月の施術回数は、「1日の施術回数×月の営業日数」です。経費は、家賃、水道光熱、通信、広告、消耗品、機器のリース、借入の利息などを、1か月分ずつ書き出します。

収支計画(月平均)の例の図。開業当初は単価6,000円で月120回の施術で売上72万円、家賃15万円、水道光熱と通信3万円、広告と集客3万円、消耗品とリース3万円、支払利息とその他3万円で、利益45万円。1年後は月200回で売上120万円、利益90万円
収支計画(月平均)の例。数字は説明のための例

計算できたら、院を続けるために最低限必要な施術の回数(損益分岐点)を出します。上の例で、経費が月27万円、生活費が月30万円、借入の元金の返済が月5万円なら、月に62万円が必要です。単価6,000円なら月に約104回、月に22日営業するなら1日あたり約5回の施術が、最低限の目標になります。この回数が、STEP5とSTEP8で使う集客の目標になります。

借入の元金の返済は、経費には入りません。利益の中から返していくお金です。手元にいくらお金が残るかは、決算書でいう貸借対照表(BS)の「現金」と「借入金」で確かめます。開業後は、利益だけでなく、手元の現金が減り続けていないかも毎月見ることが大切です。

2. 開業費用を見積もる

開業費用は、設備資金と運転資金に分けて見積もりましょう。設備資金は、物件、内装、設備など、開業のために一度に払うお金です。運転資金は、開業後に売上が目標に届くまでの家賃や経費、生活費をまかなうお金です。日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」では、業種を問わない開業費用の平均は975万円でした。整体院や整骨院は、物件の広さや内装の程度によって、これより大きく下がることも上がることもあります。

区分 費用 主な中身 見積もりの取り方
設備資金 物件 保証金、礼金、仲介手数料、前家賃 候補の物件の募集条件と、不動産会社への確認(STEP3)
内装 間仕切り、床、照明、換気、水回り 内装業者の見積もり(STEP4)
設備 施術ベッド、物療機器、受付の机、レジ、パソコン メーカーや販売店の見積もり(STEP4)
集客 看板、ホームページ、開業の案内 制作会社や看板業者の見積もり(STEP4とSTEP5)
運転資金 開業後の経費と生活費 家賃、光熱費、生活費、返済 収支計画で、売上が目標に届くまでの不足分を出す

見落としやすいのが運転資金です。開業した月から目標の施術回数に届くことはまれです。収支計画の開業当初の数字で、売上が足りない月が何か月続きそうかを見込み、その間の不足分を手元に残しておきましょう。

3. 創業計画書を書く

収支計画と開業費用が出たら、創業計画書にまとめましょう。創業計画書は、融資を申し込むときに出すだけでなく、自分の考えを整理し、開業後に計画と実績を比べるための土台にもなります。日本政策金融公庫の各種書式ダウンロードのページから、創業計画書の書式と、業種ごとの記入例を手に入れられます。

創業計画書に書く8つの項目の図。創業の動機、経営者の略歴、取扱サービス、取引先、従業員、お借入の状況、必要な資金と調達方法、事業の見通し
創業計画書に書く8つの項目(日本政策金融公庫の書式より)

整体院・整骨院の場合、それぞれの項目には次のことを書きます。

項目 書くこと この記事のどこで決めるか
創業の動機 なぜ開業するのか、どんな院をつくりたいのか STEP1
経営者の略歴 勤めてきた院、担当してきた業務、資格、施術の実績 STEP1
取扱サービス 施術の内容、料金、ターゲット、強み、近くの院との違い STEP1とSTEP3
取引先 消耗品の仕入先、保険の請求の流れ STEP4とSTEP6
従業員 雇う人数と役割 STEP4
お借入の状況 住宅ローンや車のローンなど、今ある借入 ―
必要な資金と調達方法 設備資金と運転資金の内訳と、自己資金、借入の金額 STEP2の2と4
事業の見通し 開業当初と1年後の売上、経費、利益と、その計算の根拠 STEP2の1

大切なのは、数字の根拠を書くことです。「単価6,000円×1日5回×月22日」のように計算の式を書き、1年後に回数が増える理由(紹介や口コミ、ホームページからの予約が増える見込みなど)も書いておきます。

4. 資金を準備する

必要な資金のうち、自己資金で足りない分は、創業向けの融資を検討しましょう。主な借り先は次のとおりです。

  • 日本政策金融公庫:政府系の金融機関で、これから開業する人や開業して間もない人向けの融資がある
  • 自治体の制度融資:都道府県や市区町村が、金融機関や信用保証協会と組んで行う融資。自治体によって条件や利子の補助が違う
  • 信用金庫などの地域の金融機関:地域の創業支援の窓口を設けているところもある

市区町村によっては、国の認定を受けた「創業支援等事業計画」にもとづいて、創業セミナーや個別相談を行っています。その中の「特定創業支援等事業」を受けて市区町村の証明を受けると、会社を設立するときの登録免許税の軽減などを受けられる場合があります。開業する地域の市区町村のホームページで、「創業支援」と探してみましょう。

5. 事業計画の相談先

事業計画や資金の相談は、無料で使える窓口から始めましょう。

相談先 相談できること
よろず支援拠点 国が都道府県ごとに設けている無料の経営相談所。事業計画、資金、集客などを専門家に何度でも相談できる
商工会議所・商工会 創業の相談、創業セミナー、地域の制度の紹介
日本政策金融公庫 創業の融資の相談、創業計画書の書き方
税理士 個人で開業するか法人にするか、帳簿のつけ方、税金の届出

各窓口は、中小企業基盤整備機構のJ-Net21の起業の相談窓口のページでまとめて確かめられます。

STEP3 物件を決める(6か月前)

資金のめどが立ったら、物件を探します。物件は、一度契約すると簡単には変えられません。院の集客を最も長く左右する決定です。

物件を決めるときの相談先の図。店舗物件を扱う不動産会社に物件の紹介と契約条件の交渉、保健所に整骨院の設備の基準、消防署に内装工事と使用開始の届出、自治体の屋外広告物の窓口に看板の許可、商工会議所とよろず支援拠点に立地や事業計画を相談する
物件を決めるときの相談先

1. 開業する地域と場所の条件を決める

物件は、家賃の安さより、STEP1で決めたターゲットが通いやすい場所かどうかで選びましょう。仕事帰りの会社員がターゲットなら駅の近く、子育て中の母親なら住宅街で駐車場のある場所が候補になります。

候補の地域は、次の3つの方法で調べます。

  • 人口を調べる:総務省統計局のjSTAT MAPで、候補の地域に住んでいる人の数を、年代別に地図の上で無料で調べられる
  • 近くの院を調べる:Googleマップで「地域名+整骨院」「地域名+整体」と検索し、近くにどんな院があり、どんな口コミがついているかを確かめる。ターゲットが同じ院がすぐ近くにあるなら、選ばれる理由を作れるかを考える
  • 現地を歩く:ターゲットが通る時間に、候補の場所を歩く。会社員なら平日の夕方、子育て中の人なら平日の昼間に、人通りと、入口が目に入るかを確かめる

2. 物件を探す

物件は、店舗や事務所の物件を扱う不動産会社に相談して探しましょう。住まいの物件を中心に扱う会社より、店舗の契約に慣れている会社のほうが、看板や内装、用途についての貸主との交渉を進めやすいからです。院を開きたいこと、ターゲット、希望の広さと家賃を伝え、複数の会社に声をかけておきます。

前の入居者の内装や設備が残っている「居抜き」の物件は、内装の費用を抑えられることがあります。ただし、整骨院の場合は、施術室と待合室の基準を満たす間取りかどうかを、必ず確かめましょう。

3. 契約の前に条件を確かめる

契約の前に、院として使える物件かどうかを確かめましょう。確かめることは次のとおりです。

確かめること 確かめ方
施術院として使うことを貸主が認めているか 不動産会社を通して貸主に確認し、契約書に用途を書いてもらう
整骨院の設備の基準を満たせるか 6.6平方メートル以上の専用の施術室と、3.3平方メートル以上の待合室が取れるか。施術室は、室面積の7分の1以上を外気に開放できるか、換気装置を付けられるか。手指や器具の消毒の設備を置けるか
看板を出せるか 建物の決まりと、自治体の屋外広告物の条例(STEP4)
入口が分かりやすいか はじめての人が、迷わずにたどり着けるか。2階以上なら、通りから見える案内を出せるか
水回りと電気 手洗いの場所、トイレ、物療機器を使うための電気の容量
契約の条件 保証金、礼金、仲介手数料、更新料、解約の予告期間、退去時の原状回復の範囲

自宅の一室で開業する場合、整体院なら開業できますが、整骨院は施術室と待合室の基準を満たす必要があります。東京都の手引きでは、施術室を住まいやほかの店舗から構造上独立した場所に置き、壁や扉で区切ることが求められています。賃貸の住まいなら、事業に使えるかどうかを契約書で確かめましょう。

4. 整骨院は契約の前に保健所に相談する

整骨院を開く場合は、物件の図面を持って、契約の前に保健所に相談しましょう。設備の基準や届出の書類は、自治体によって細かな運用が違うことがあります。たとえば東京都の手引きでは、施術室と待合室の面積や換気に加えて、手指や器具の消毒の設備を置くこと、常に清潔に保ち、採光、照明、換気を十分にすることが求められています。院の名前についても、事前に相談するよう案内されています。契約や内装の工事の後に基準を満たさないと分かると、やり直しに大きな費用がかかります。

STEP4 内装と設備を整える(4か月前)

物件が決まったら、内装と設備を決めます。内装も設備も、ターゲットにとって心地よく、安心して通えるかどうかを基準に選びます。

内装工事の進め方の図。内装業者に相談、3社から見積もり、保健所に図面で相談、消防署へ届出、工事、使用開始の6段階
内装工事の進め方

1. 内装業者を選ぶ

内装は、店舗の内装の実績がある業者に相談しましょう。できれば、整体院、整骨院、エステなどの施術の店舗を手がけたことのある業者が安心です。業者を選ぶときは、次のように進めます。

  • 3社ほどに声をかけ、同じ図面と同じ要望で見積もりを出してもらう
  • 見積もりは、総額だけでなく、項目ごとの金額と、含まれていない工事(電気の容量を増やす工事、看板など)を比べる
  • 工事の期間と、開業日に間に合うかを確かめる
  • 整骨院の設備の基準と、消防の届出に対応してもらえるかを確かめる

2. 内装を決める

内装は、患者さんの動きに沿って決めましょう。入口から受付、待合、施術室、着替えの場所、会計、出口まで、患者さんが迷わずに動けるかを図面の上でたどります。整骨院の場合は、施術室と待合室の基準を満たす間取りにします。床や壁は、清潔に保ちやすく、掃除しやすい材料を選びます。

院の雰囲気は、STEP1で決めたターゲットに合わせます。会社員がターゲットなら落ち着いた照明と静かな空間、子育て中の母親なら子どもが待てる場所と、ベビーカーで入れる入口が、選ばれる理由になります。

3. 消防署へ届け出る

内装の工事をして店舗を始めるときは、消防署への届出が必要です。東京消防庁の案内では、テナントで内装の工事をして店舗を開く場合は、工事に着手する日の7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」を、工事をせずに入居して使い始める場合は、使い始める日の7日前までに「防火対象物使用開始届出書」を、建物を管轄する消防署に出すとされています。消火器など、必要な消防用設備も確かめておきましょう。届出の名前や期限は、自治体の火災予防条例によって違うので、管轄の消防署の予防課に確かめましょう。内装業者が届出を手伝ってくれることもあります。

4. 看板を決める

看板には、院の名前、何の院か、場所が分かる案内を載せましょう。看板は、大きさや場所によっては、自治体の屋外広告物の条例にもとづく許可が必要です。たとえば東京都目黒区の案内では、店舗に出す自家用の看板は、許可区域なら合計10平方メートル以下は許可が不要とされていますが、地域によって基準が違います。看板業者に、許可が必要かどうかを確かめてもらいましょう。

看板に書く内容は、広告の決まりの対象です。厚生労働省のあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関するガイドラインでは、整骨院が広告できる内容が決められており、資格のない人も症状の名前や施術の効果をうたう広告はするべきでないとされています。

5. 設備をそろえる

設備は、施術に欠かせないものから買い、ほかは開業後に患者さんの様子を見て足しましょう。開業日に必要なものを書き出し、優先順位をつけます。

  • 開業日に欠かせないもの:施術ベッド、タオルや枕などのリネン、受付の机と椅子、待合の椅子、レジまたは会計の仕組み、パソコン、電話
  • 整骨院で保険を扱うなら:保険の請求に使う仕組み
  • 開業後に検討するもの:高額な物療機器、トレーニングの器具など

高額な機器は、購入、リース、中古を比べます。リースは月々の支払いになるので、収支計画の経費に入れておきましょう。

6. 予約と会計の仕組みを決める

予約の受け方と会計の方法を、開業前に決めておきましょう。予約は、電話に加えて、ネットの予約システムやLINE公式アカウントなど、患者さんが選べるようにしておくのが基本です。会計は、現金に加えてキャッシュレス決済を使えるようにするかを決めます。キャッシュレス決済の手数料も、収支計画の経費に入れておきます。

STEP5 集客の準備を始める(3か月前)

開業で最も後回しになりやすく、最も大切なステップです。ホームページもGoogleビジネスプロフィールも、作ってすぐに見つけてもらえるものではありません。開業の3か月前から始めましょう。

1. 料金とメニューを決める

料金とメニューは、STEP2の収支計画と、ターゲットが続けて通える金額の両方から決めましょう。収支計画で出した単価で、ターゲットが月に何回通えるかを考えます。単価を上げるなら、それに見合う提供価値をホームページや施術の説明で伝える必要があります。

メニューの数は、はじめての人が迷わない数にしぼります。料金は、ホームページ、Googleビジネスプロフィール、院内の掲示で同じにそろえ、施術の時間と内容を合わせて書きます。

2. ホームページを作る

ホームページは、院を見つけた人が「この院に行こう」と決めるための場所です。院を見つけた人の多くは、ホームページで料金や施術の流れを確かめてから予約します。開業時に用意するページは次のとおりです。

  • トップページ:誰のための院か、何を届ける院かを、最初に伝える
  • はじめての方へ:施術の流れ、かかる時間、持ち物、料金
  • 料金とメニュー
  • 院長の紹介:経歴、資格、この院を開いた理由
  • アクセス:地図、最寄り駅からの道順、駐車場、入口の写真
  • 予約の方法:電話、予約システム、LINE

開業後は、STEP1で集めた患者さんの悩みと質問をもとに、記事を足していきます。作り方の考え方は、整骨院・整体院のホームページデザインでお伝えしています。

3. Googleビジネスプロフィールに登録する

Googleビジネスプロフィールは、Googleマップと検索結果に院を表示する無料のツールです。開業日を入れて登録し、オーナー確認を済ませておくと、開業日の90日前からGoogleマップに院が表示されます。

  • 院の名前は、看板と同じ正式な名前にする。地域名やサービスの説明などの言葉を足すことは、Googleのガイドラインで認められておらず、プロフィールが停止される原因になる
  • 住所、電話番号、営業時間、ホームページ、予約のページをすべて埋める
  • 外観、入口、受付、待合、施術室の写真を、工事が終わったら載せる

開業後に欠かせないGoogleアナリティクスとSearch Consoleとあわせた使い方は、整骨院・整体院の集客ツールは3つで十分でお伝えしています。

4. 声をかける人のリストを作る

開業を知らせれば来てくれる人を、リストに書き出しましょう。開業したばかりの院は、口コミも実績もなく、検索やGoogleマップで上位に出ることも難しい状態です。最初の患者さんに来てもらい、満足してもらい、紹介や口コミで広がる流れをつくれるかどうかは、このリストで決まります。

書き出すのは、家族、友人、学生時代の仲間、これまでの仕事でつながった人、地域の知り合い、通っているお店の人などです。名前と連絡の手段、どんな体の悩みを持っていそうかを、表にまとめておきます。勤めていた院の患者さんの連絡先は、STEP1で書いたとおり使いません。くわしくは整骨院・整体院の新規開業の集客方法でお伝えしています。

STEP6 届出と手続きを済ませる(開業前後)

開業の前後には、施術所としての届出と、税金の届出があります。期限があるものは、カレンダーに書き込んでおきましょう。

手続き 提出先 期限 対象
施術所の開設届 保健所など 開設してから10日以内 整骨院
受領委任の届出・申出 地方厚生局 受領委任を扱いはじめる前 保険を扱う整骨院
消防の届出 消防署 工事をする場合は着手の7日前まで、工事をしない場合は使用開始の7日前まで(東京都の例) テナントで開く院(STEP4)
個人事業の開業届 税務署 開業した年の確定申告の期限まで 個人で開業するすべての院
青色申告の承認申請 税務署 1月16日以後の開業なら、開業日から2か月以内 青色申告をする院

1. 施術所の開設届(整骨院)

整骨院は、施術所を開設してから10日以内に、保健所などへ開設届を出します。東京都の手引きでは、開設届に、施術する人の免許証の写し、各部屋の名前と面積、換気、消毒の設備の場所を書いた平面図、最寄り駅からの案内図などを付けて出し、開設後に保健所の職員が施術所を確認に来るとされています。書類の様式は自治体ごとに違うので、STEP3で相談した保健所の手引きで確かめましょう。

正式な開業日の前にプレオープンとして施術をする場合は、その日が開設日として扱われることがあります。プレオープンを考えている場合は、期限と設備の基準に関わるので、前もって保健所に相談しておきます。

2. 受領委任の届出(保険を扱う整骨院)

骨折、脱臼、打撲、捻挫などのけがの施術で、患者さんの負担を一部にする受領委任を扱うには、地方厚生局への届出が必要です。届出には、施術管理者の実務経験の証明と、施術管理者研修の修了証の写しを付けます。実務経験の証明は、勤めていた施術所の管理者に書いてもらう書類なので、退職の前にお願いしておきましょう。受領委任を扱いはじめる日から逆算して、地方厚生局のホームページで提出の時期と書類を確かめます。

3. 個人事業の開業届と青色申告の承認申請

個人で開業する場合は、税務署に開業届を出します。国税庁のタックスアンサーでは、提出期限は開業した年の確定申告の期限までとされています。青色申告をする場合は、1月16日以後に開業したなら、開業日から2か月以内に承認申請書を出します。青色申告にすると、帳簿をつける手間はかかりますが、条件を満たせば控除を受けられます。法人として開業する場合は手続きが変わるので、税理士に相談しましょう。

4. 事業用の口座と帳簿を用意する

開業の前に、事業用の銀行口座を用意し、売上と経費の記録の方法を決めましょう。生活のお金と事業のお金を分けておくと、STEP8で計画と実績を比べるときに、数字をすぐに出せます。帳簿は、会計ソフトを使うか、税理士に頼むかを決めておきます。

5. 従業員を雇う場合の手続き

開業時から受付やスタッフを雇う場合は、労働保険や給与の支払いに関する届出が必要です。雇い入れる前に、労働基準監督署やハローワーク、税務署、または社会保険労務士に、必要な手続きと期限を確かめましょう。

6. 賠償責任保険に入る

施術中の事故に備えて、施術者向けの賠償責任保険に入っておきましょう。柔道整復師の団体や、整体の団体などが、会員向けの保険を用意していることがあります。開業日から保険が有効になるよう、加入の時期を確かめておきます。

STEP7 開業を知らせて予約を受ける(1か月前〜開業日)

開業の1か月前からは、準備してきたことを使って、開業を知らせる段階です。

1. 開業を知らせる

STEP5で作ったリストの人に、開業日、場所、どんな院かを、一人ひとりに知らせましょう。一斉に送るより、一人ひとりに言葉を添えて知らせるほうが、来院につながります。たとえば、次のように書きます。

「〇〇さん、ご無沙汰しています。このたび〇月〇日に、〇〇駅の近くで整体院を開くことになりました。デスクワークで肩や腰がつらい方に、仕事帰りに体を整えてもらえる院にしたいと思っています。〇〇さんも以前、肩こりの話をされていたので、よかったら一度いらしてください。」

ホームページとGoogleビジネスプロフィールにも、開業日と予約の方法を載せます。開業の案内を院のSNSやチラシで出す場合も、広告の決まりを守り、症状の名前や施術の効果をうたわないようにします。

2. 予約の受け付けを始める

開業日の2週間前を目安に、予約の受け付けを始めましょう。電話、予約システム、LINEなど、STEP4で決めた方法で受け付けます。開業日から最初の数日の予約の数が、口コミと紹介が広がるきっかけになります。

3. 口コミの頼み方を決めておく

来院した人に、Googleマップの口コミを書いてもらうよう声をかける準備をしておきましょう。割引や特典と引き換えに口コミを頼むことは、Googleのポリシーで問題とされている行為なので避けます。プレオープンなどで無料や割引で施術した人にも、口コミは頼まないようにします。口コミの集め方は、整骨院・整体院の口コミの集め方でお伝えしています。

STEP8 数字で振り返り改善する(開業後3か月)

開業日は、院を続けていくためのスタートです。開業後の3か月で、STEP2で立てた計画どおりに進んでいるかを、数字で確かめます。

1. 計画と実績を比べる

毎月はじめに、前の月の実績を、STEP2の収支計画と並べて比べましょう。計画と実績を比べることを、予実管理といいます。表計算ソフトに、計画と実績と差を並べる表を作り、毎月同じ項目を記録します。

項目 計画 実績 差を見るときのポイント
施術の回数 STEP2で出した月の回数 予約の記録から数える 足りないなら、新しい患者さんと通い続ける人のどちらが少ないかを見る
売上 単価×回数 帳簿から 単価が計画より下がっていないか
経費 収支計画の経費 帳簿から 計画にない出費がないか
手元の現金 運転資金の残り 事業用の口座の残高 減り続けていないか。あと何か月もつか

2. 集客の数字を記録する

施術の回数が計画に届かないときは、集客の流れのどこで患者さんが離れているかを確かめましょう。毎月、次の数字を記録します。

  • 新しい患者さんの数と、何で院を知ったか(問診票で聞く)
  • はじめて来た人のうち、2回目以降も来た人の数
  • Googleビジネスプロフィールの、マップで院が見られた数と電話の数
  • ホームページを見た人の数と、予約のボタンが押された数

3. 離れている場所を1つ決めて直す

数字を見て、直すところを1つに決めましょう。マップで見られる数が少ないなら、見つけてもらう段階です。見られているのに電話や予約が少ないなら、選んでもらう段階です。はじめて来た人が2回目に来ないなら、通い続けてもらう段階です。1つ直したら、翌月の数字で効果を確かめます。このくり返しで、開業後の院は少しずつ計画に近づいていきます。

整体院・整骨院の開業についてよくいただく質問

開業の準備は、いつから始めればいいですか?

開業日の1年前から始めるのが目安です。ターゲットを決め、資金を準備し、物件を探すまでには時間がかかります。特に集客の準備は、開業の3か月前には始めておく必要があります。辞める時期や物件の状況に合わせて、この記事のロードマップの時期を前後させて使ってください。

開業資金はいくら用意すればいいですか?

設備資金と運転資金に分けて見積もりましょう。業種を問わない開業費用の平均は975万円ですが、院の広さや内装によって大きく変わります。特に、収支計画で売上が足りない月の不足分を、運転資金として残しておくことが大切です。

誰に相談すればいいか分かりません

事業計画と資金は、よろず支援拠点や商工会議所、日本政策金融公庫に相談しましょう。物件は店舗を扱う不動産会社、整骨院の設備の基準は保健所、内装の届出は消防署、看板は自治体の屋外広告物の窓口、税金は税理士が相談先です。集客の準備は、開業の前から始めることが大切なので、早めに相談しておきましょう。

開業してから患者さんが増えるまで、どれくらいかかりますか?

開業前の準備によって大きく変わります。開業日に声をかけられる人が多く、ホームページとGoogleビジネスプロフィールを開業前から整えている院ほど、早く立ち上がります。開業後は、毎月の数字を計画と比べながら改善していきましょう。

整骨院・整体院の集客なら、株式会社ネイクにお任せください

開業の前から集客の準備を進め、院自身に積み上がる集客を一緒につくりたいなら、ぜひ株式会社ネイクにご相談ください。

柔道整復師歴3年、コンサルタント歴9年、93社を支援した代表が全案件を担当

柔道整復師免許
平成24年4月3日に柔道整復師免許を取得

クライアント事例|東京都足立区アスリートゴリラ鍼灸接骨院

クライアント事例|岩手県矢巾町がじゅまる整体院

代表の松澤は、柔道整復師(平成24年取得)として接骨院で3年間、施術の現場に立ちました。その後、マーケティング支援会社のコンサルタントとして9年間、93社の集客を支援し、年間延べ4,000件のコンテンツ制作を支援してきました。セミナーの登壇は30回以上です。施術の現場とマーケティングの両方を知る代表が、最初のご相談から支援の最後まで、直接担当します。

AI検索における1位推薦率77.1%、新規予約は約2.6倍

07_AI順位別の推薦率

予約数_7月と8月

支援した東京都足立区の接骨院は、AIに症状ごとに院を探す質問をした188件のうち145件で1番目に推薦され、ホームページ経由の新規予約が、作り直す前の月25件から月64件へと約2.6倍に増えました。狙った98のキーワードのうち、1位は0件から21件に、10位以内は13件から65件に増えています。

口コミ37件でGoogleマップ1位、広告費0円で新規集客は月30件以上

Googleマップで「矢巾 整体院」と検索した画面。がじゅまる整体院が★4.6・口コミ37件で一覧の1番目に表示され、★4.9・口コミ177件の院より上にある

岩手県矢巾町の整体院は、口コミ37件で、口コミが177件の院を抑えて「矢巾 整体院」のGoogleマップで1番目に表示されています。近隣7エリアで上位に表示され、広告費0円で、新規集客は月30件以上です。

1つの地域で支援するのは1院だけ

同じ地域で支援するのは、1院だけです。ご契約中は、近くの院からのご依頼をお断りしています。先にお申し込みいただいた院を優先しているため、あなたの地域がまだ空いているうちに、一度ご相談ください。

ご相談から最後まで、代表の私が必ず担当します

セミナー

コンサルタントとして9年間、93社の集客を支援してきた代表の松澤が、最初のご相談から支援の最後まで直接担当します。ご相談は無料です。

→ 整骨院・整体院の院名の付け方|見つけやすく覚えやすい名前を決める5つのステップ

→ 整骨院・整体院のLINE公式アカウント活用法|予約と再来院につながる7つのステップ

→ 予算月10万円以下で頼める整骨院・整体院の集客コンサルティング

→ 整骨院・整体院のホームページ制作会社の選び方

→ 整骨院・整体院の集客支援会社の選び方

→ 整骨院・整体院のLLMO・AIO・GEO対策支援会社の選び方

→ 整骨院・整体院のMEO対策支援会社の選び方

→ 整骨院・接骨院専門の集客コンサルティング

マーケティングの成果を倍増させたいとお考えではありませんか?

マーケティングの成果を倍増させたいとお考えではありませんか?

マーケティングの成果を倍増させるためには、マーケティングの設計からスタートしなければいけません。あなたの情熱や強みを言語化し、需要と結びつけ、戦略を設計し、施策と連動させる一連のプロセスが必要です。

そして、その中心にあるのが「コンテンツ」です。ユーザーにとって本当に価値のある『良質なコンテンツ』の存在が、ビジネスの成果を中長期的に飛躍させてくれるからです。

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