院の前を毎日たくさんの人が通っているのに、「こんなところに院があったんですね」と言われる。看板を新しくしたいけれど、何を書けばいいのか、何を書いてはいけないのか分からない。整骨院・整体院の院長から、よくいただく相談です。
結論から言えば、看板の役割は、院の存在に気づいてもらい、覚えてもらうことです。看板で院の強みまで語ろうとするより、遠くからでも院があると分かり、名前が自然と記憶に残ることのほうが、来院につながるからです。そして整骨院の看板は、法律で書ける内容が決められているため、その範囲の中で作る必要があります。
私は、マーケティング支援会社のコンサルタントとして9年間、93社の集客を支援してきました。その経験から、看板は院の集客の入口として、ホームページやGoogleマップと同じくらい大切だと考えています。この記事では、広告の決まりを守りながら、院の存在に気づいてもらう看板の作り方をお伝えします。
それでは、見ていきましょう。
看板の役割は院の存在に気づいてもらうこと
看板を見るのは、院の前を歩いて、あるいは車で通りすぎる人です。目に入る時間は、ほんの数秒しかありません。その数秒で伝えられるのは、「ここに院がある」「何の院か」「名前は何か」くらいです。
だからこそ、看板には多くを語らせる必要はありません。院の強みや施術の考え方は、看板を見て気になった人が、スマートフォンで院の名前を検索したときに見つかるホームページやGoogleマップで伝えれば十分です。看板の仕事は、その検索のきっかけをつくることです。
整骨院の看板に書けること・書けないこと
整骨院の看板は、柔道整復師法第24条で「広告」として扱われ、書いてよい内容が決められています。決められた事項以外は、文書やそのほかどんな方法でも広告できません。違反には、30万円以下の罰金が定められています。
| 区分 | 書けること |
|---|---|
| 法律で定められた事項 | 柔道整復師であることと氏名・住所、施術所の名称・電話番号・所在地、施術日・施術時間 |
| 厚生労働大臣が指定する事項 | ほねつぎ(または接骨)、開設の届出をした旨、医療保険の療養費の申請ができる旨(脱臼・骨折は医師の同意が必要と明示する場合に限る)、予約に基づく施術、休日・夜間の施術、出張による施術、駐車場 |
出典:大阪市「施術所の広告及び名称に関する規制」(柔道整復師法第24条第1項、平成11年厚生省告示第70号)
書ける事項であっても、柔道整復師の技能、施術方法、経歴に触れることはできません。そのため、次のような内容は、整骨院の看板には書けません。
- 肩こり、腰痛、骨盤矯正など、症状や施術の名前
- 「痛みが取れる」「楽になる」など、効果をうたう言葉
- 料金、割引、無料体験
- 「施術歴20年」「〇〇大会のトレーナー」などの経歴
- 効果を想像させる写真やイラスト
2025年2月18日には、厚生労働省が「あはき・柔整広告ガイドライン」を公表しました。保健所は、このガイドラインをもとに指導を行います(厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師に係る広告等」)。迷う表現があるときは、看板を作る前に、院のある地域の保健所に確認しましょう。看板は一度作ると簡単には作り直せないからです。
整体院の看板の注意点
整体院には、柔道整復師法のような広告の制限はありません。ただし、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師などの資格を持つ人が開く院は、名称や施術の内容によって、それぞれの法律の広告の制限を受ける場合があるため、保健所に確認しましょう。ただし、「治る」「治療」のように医療を思わせる表現や、根拠のない「地域No.1」のような表現は、誤解を招くため避けましょう。整体院も、看板の役割が「気づいてもらうこと」である点は同じです。
気づいてもらう看板の作り方
看板で一番大切なのは、目に触れやすく、院の存在を認識できるかどうかです。まず、整骨院の看板に書ける事項だけで作った、看板の構成の見本をご覧ください。

書ける事項が限られていても、院の存在と通いやすさは十分に伝えられます。大切なのは、何をどこにどう見せるかです。看板は、見る人との距離によって役割を分けて考えます。

1. 歩く人と車の人の目線から見える場所に置く
看板は、実際に見える場所に置かなければ、どれだけ良いデザインでも意味がありません。院長が毎日見ている院の正面と、通りを歩く人が目にする角度は、まったく違うからです。
まず、院の前の道を、次の条件で通ってみましょう。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 歩いて両方向から | どこから看板が目に入り始めるか。木、電柱、ほかの店の看板に隠れていないか |
| 自転車と車で | 速く動くと、看板が目に入る時間は数秒になる。その時間で院名が読めるか |
| 信号待ちの位置から | 止まっている人の目に入る場所に、看板があるか |
| 夕方と夜に | 暗くなってから、看板が見えるか |
道に対して平行に付ける壁面の看板は、正面からは見えても、歩いている人の目には入りにくいことが多くあります。人は進む方向を向いて歩くからです。歩く人に気づいてもらうには、道に対して直角に突き出す袖看板が効果的です。院が2階以上にある場合は、1階の入口に置き看板を置き、2階の窓にシートを貼るなど、「どこに入口があるか」まで分かるようにしましょう。
2. 遠くから読める大きさと量にする
遠くから見せる看板には、院の名前と業態(接骨、ほねつぎ、整体など)だけを、大きく書きます。看板の大きさは決まっているので、文字を詰め込むほど一つひとつの文字が小さくなり、遠くからは何も読めなくなるからです。
| よくない例 | よい例 | |
|---|---|---|
| 壁面看板 | 院名、受付時間、電話番号、予約制、駐車場を全部入れる | 「〇〇接骨院」と「ほねつぎ」だけを大きく |
| 袖看板 | 院名を横書きで小さく | 「接骨 〇〇」を縦に大きく |
作る前に、実物大のデザインを紙に印刷して院の前に貼り、離れた場所から読めるかを確認しましょう。パソコンの画面で見た印象と、実際の距離で見た印象は大きく違います。この確認だけで、多くの失敗を防げます。
3. 背景と文字の色の差をはっきりさせる
背景の色と文字の色は、明るさの差がはっきりした組み合わせにします。似た明るさの色どうしは、遠くから見ると文字が背景に溶けて読めなくなるからです。
| 読みやすい組み合わせ | 読みにくい組み合わせ |
|---|---|
| 濃い紺の背景に白い文字 | 水色の背景に白い文字 |
| 白い背景に濃い緑や紺の文字 | 黄色の背景に白い文字 |
| 濃い茶色の背景にクリーム色の文字 | 赤の背景に濃い緑の文字 |
あわせて、周りの建物や、隣の店の看板の色も確認しましょう。周りが白い建物ばかりなら濃い色の看板が、濃い色が多い通りなら明るい色の看板が目立ちます。
4. 夜も見えるようにする
夜間も施術している院は、暗くなってからも看板が見えるようにします。仕事帰りの人が通る時間帯に看板が暗いと、院が閉まっているように見え、せっかくの夜間の施術が伝わらないからです。
- 看板の内側から光る、電飾の看板にする
- 看板を外から照らす、スポットライトを付ける
- 窓の内側の明かりで、窓のシートが浮かび上がるようにする
夜の院の前を実際に歩き、看板が見えるかを確認しましょう。
5. 近くの看板で通いやすさを伝える
近くで見る置き看板や窓のシートには、通いやすさに関わる情報を載せます。看板で院に気づいた人が次に知りたいのは、「自分が行ける時間に開いているか」「予約がいるか」「車で行けるか」だからです。
整骨院の場合も、次の事項は看板に書けます。
| 書けること | 見本の文例 |
|---|---|
| 施術日・施術時間 | 平日 9:00〜20:00/土曜 9:00〜14:00/日曜・祝日 休み |
| 予約に基づく施術 | 予約制 |
| 休日・夜間の施術 | 夜20時まで受付 |
| 駐車場 | 駐車場2台あり |
| 電話番号 | 00-0000-0000 |
「仕事帰りの20時まで開いている」「駐車場がある」と分かるだけで、通う姿を思い浮かべてもらえます。書ける事項の範囲でも、伝え方しだいで、来院のきっかけは十分につくれます。
覚えてもらいやすい院の名前にする
看板の効果は、院の名前そのものにも大きく左右されます。看板で院に気づいた人の多くは、その場ではなく、あとからスマートフォンで院の名前を検索するからです。名前を覚えていなければ、検索することもできません。
| 覚えてもらいやすい名前 | 覚えてもらいにくい名前 |
|---|---|
| 短く、読み方が一つに決まる | 長い、読み方が何通りもある |
| 地域の名前や、院の特徴が入っている | どこにでもある言葉の組み合わせ |
| 声に出して言いやすい | 漢字が難しく、読めない |
ただし、院の名前にも決まりがあります。医療機関と誤解される名前は使えないとされており、使える名前かどうかは、開設の届出の前に保健所に確認しましょう。すでに院を開いている場合は、名前を変えるより、看板で院の名前を読みやすく、大きく見せることから始めるのが現実的です。
看板の種類と選び方
| 看板の種類 | 向いている場面 | 特徴 |
|---|---|---|
| 壁面看板 | 建物の正面が道から見える院 | 遠くからも見え、院の顔になる |
| 袖看板 | 歩く人が多い通りに面した院 | 道に対して直角に出すので、両方向から目に入る |
| 置き看板 | 院の入口が道から分かりにくい院 | 入口の場所を示し、近くの人に情報を伝えられる |
| 窓のシート | 窓が道に面している院、2階以上の院 | 窓を看板として使える |
| のぼり | 人通りの多い場所にある院 | 目に入りやすいが、整骨院は書ける内容に注意 |
看板にかかる費用と長い目で見た価値
看板は、一度作れば何年も使い続けられる、長い目で見ると費用対効果の高い集客の手段です。チラシのように配るたびに費用がかかるのではなく、院の前を通る人に、毎日、24時間、院の存在を伝え続けてくれるからです。
| 看板の種類 | 製作と設置の費用の目安 | 使える期間の目安 |
|---|---|---|
| 置き看板(A型) | 1万〜5万円 | 表示面は2〜3年で貼り替え |
| 窓のシート | 2万〜15万円 | 3〜5年で貼り替え |
| 袖看板 | 10万〜40万円 | 本体10〜15年(定期的な点検が必要) |
| 壁面看板 | 15万〜80万円 | 本体10年以上 |
出典:店舗内装ドットコム「店舗の看板製作費用の完全ガイド」。費用は大きさ、素材、照明の有無、工事の内容で大きく変わります
小さな店でよくある「壁面看板と袖看板と置き看板」の組み合わせで、20万〜80万円ほどが目安とされています。ただし、看板は作って終わりではなく、許可の更新、点検、電気代、表示の貼り替えがかかり、10年の合計では初期費用の1.5〜2倍になるとされています。
長い目で計算してみましょう。例えば、看板一式に50万円かかり、10年で合計100万円になったとします。1年あたり10万円、1か月あたり約8,300円です。
もし看板がきっかけで、月に1人でも新しい患者さんが来てくれたら、どうでしょうか。1人の患者さんが通院を通じて院にもたらす売上が3万円なら、1か月約8,300円の看板の費用は、十分に回収できる計算です。看板は、院の前を通るたくさんの人に、10年にわたって院の存在を伝え続ける、長期の投資なのです。1人の患者さんがもたらす売上の出し方は、整体院・整骨院の広告費はいくらが適正?で解説しています。
看板を設置するときの決まり
看板は、書く内容だけでなく、設置する場所や大きさにも決まりがあります。
- 屋外広告物条例:都道府県や市区町村の条例で、看板の大きさや設置場所が決められており、許可が必要になる場合があります
- 道路の使用の許可:歩道などの道路に置き看板を置くには、道路を管理する役所の許可が必要です。許可なく置くと、撤去を求められることがあります
- 建物のルール:テナントの場合は、看板を付けられる場所や大きさが、建物の管理会社との契約で決まっていることがあります
看板を作る前に、院のある市区町村の担当窓口と、建物の管理会社に確認しましょう。看板の制作会社に、手続きまで相談できることも多くあります。
整骨院・整体院の院長から看板についてよくいただく質問
看板に「肩こり・腰痛」と書いてもいいですか?
整骨院の看板には書けません。症状の名前は、柔道整復師法で広告できる事項に含まれていないからです。整体院の場合は法律の制限はありませんが、医療を思わせる表現は避けましょう。
英語の看板は必要ですか?
外国から来た人や、外国の人が多く住む地域なら、英語の表記を添えると親切です。整骨院の場合も、院の名前や受付時間など、書ける事項を英語で表記することになります。
看板の見積もりはどう取ればいいですか?
2〜3社の看板の制作会社に、同じ条件で見積もりを取りましょう。看板の大きさ、素材、照明の有無、設置の工事、屋外広告物の許可の手続きまで含まれているかを、見積もりで確認することが大切です。整骨院の場合は、表示する内容が柔道整復師法に沿っているかも、あわせて確認しましょう。
看板を変えたら効果は出ますか?
看板で院に気づく人が増えても、そのあと検索したときに院の情報が見つからなければ、来院にはつながりません。看板とあわせて、Googleマップとホームページの情報も整えましょう。整骨院・整体院の新規集客を増やす30の方法もあわせてご覧ください。
整骨院・整体院の集客なら、株式会社ネイクにお任せください
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柔道整復師歴3年、コンサルタント歴9年、93社を支援した代表が全案件を担当



代表の松澤は、柔道整復師(平成24年取得)として接骨院で3年間、施術の現場に立ちました。その後、マーケティング支援会社のコンサルタントとして9年間、93社の集客を支援し、年間延べ4,000件のコンテンツ制作を支援してきました。セミナーの登壇は30回以上です。施術の現場とマーケティングの両方を知る代表が、最初のご相談から支援の最後まで、直接担当します。
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