治療院のホームページを、AIに作らせてもいいのかと悩んでいませんか? あるいは、制作会社から「AIで作れば安く済みます」と提案され、見積書を前に判断を迷われているのではないでしょうか。
結論から言えば、AIに丸投げするのはやめるべきです。
AIを使うこと自体には、何の問題もありません。問題は、出来上がったものを誰も判断していないことです。
実際、検索で上位に表示されているページの86.5%には、すでにAIが関わっています。一方で、完全にAIだけで作られたページは、全体の2.5%しかありません。上位を占めているのは、人間が主導し、AIを道具として使ったページです。
ここでは、治療院がAIに丸投げしてホームページを作らせてはいけない3つの理由をお伝えします。
私はこれまでに、4,960件の治療院のホームページを実際に確認してきました(2026年8月19日時点)。そのなかで、まともなコンテンツを載せていた院は、多く見積もっても10件です。全体の0.2%にすぎません。
裏を返せば、治療院のWeb集客はまだブルーオーシャンだということです。丸投げさえしなければ、勝てる余地は大きく残っています。
読み終えていただければ、ご自身の院がAIに任せていいのかどうかを、その場で判断できるようになるでしょう。それでは、さっそく見ていきましょう。
理由1:AIに丸投げしたページは、成果につながらないから
一つ目は、結果の問題です。
AIに丸投げして作ったページは、検索結果の上位に並びません。
患者さんが治療院を探すとき、主要な入口のひとつが検索です。そこに出てこなければ、検索から来るはずだった患者さんを、丸ごと取り逃がすことになります。
実際、私が支援した岩手県の整体院は、人口3万人を切る町でありながら地域キーワードで上位表示を達成し、それだけで月の予約件数が倍増しました。かけた広告費は0円です。上位に並ぶかどうかで、それだけの差が出ます。
では、丸投げしたページは、なぜ上位に並ばないのか。Google自身が、そう明言しているからです。
Googleは検索のスパムポリシーで、次の行為を「大量生成されたコンテンツの不正使用」と定めています。
生成 AI ツールまたはその他の同様のツールを使用して、ユーザーにとっての価値を付加することなく大量のページを生成すること
その線引きを、Googleはさらに具体的に示しています。検索結果の品質を人力で評価するための基準書があり、そこに「労力(Effort)」の定義が書かれています。
人間が、満足のいくコンテンツを作るためにどれだけ実際に手を動かしたかを考慮する。(中略)既存の入手可能なコンテンツを既存の翻訳ソフトに通して数千ページを自動生成することは、監督も手作業による精査もない以上、労力があったとは見なされない。
そして、労力がないと判断されたページは、最低評価に分類されます。
メインコンテンツがほとんど、あるいはまったく労力をかけずに作られており、独自性がほとんどなく、ウェブ上の類似ページと比べて価値を加えていない。
低評価の理由は、人が労力をかけていないことです。そしてAIに丸投げする行為は、どう考えても労力をかけているとは言えません。
実際の検索結果も、そのとおりになっています。
SEOツールを提供するAhrefsが、2025年4月に新しく公開された90万ページを調査しました。結果はこうです。
| 分類 | 割合 |
|---|---|
| AI生成の文章を含むページ | 74.2% |
| 完全にAIだけで作られたページ | 2.5% |
| 人間とAIの混合 | 71.7% |
| 完全に人間が書いたページ | 25.8% |
AIを使っているページは74.2%もあるのに、丸投げは2.5%しかありません。残りはすべて、人間が手を入れています。
さらに同じ調査では、検索上位20件の86.5%に、少なくとも部分的にAIが関わっていると報告されています。その一方で、完全にAIだけで作られたページが1位に到達することは、ほとんどありません。
つまり、上位を占めているのは、人間が主導し、AIを道具として使ったページです。丸投げされたページは、そもそもそこに並んでいません。
Googleが「労力を評価する」と明言している。実際の検索結果でも、丸投げのページは上位に存在しない。この2つは一致しています。
安く早く作れたとしても、患者さんに見つけてもらえなければ、そのホームページは存在していないのと同じです。制作費を抑えた分が、そのまま失われた売上になってしまいます。
以上の理由から、AIに丸投げでホームページを制作するのは避けるべきです。
※出典1:Google 検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」より「大量生成されたコンテンツの不正使用」 ※出典2:Google「検索品質評価ガイドライン」2025年9月11日版/3.2「Effort」および4.0「Lowest」(訳は筆者による)。なお同ガイドラインは冒頭で、評価者個々の判定が特定ページの掲載順位を直接動かすものではないと明記しています。Googleが何を低品質と定義しているかを示す資料として引用しました。 ※出典3:Ahrefs「What Percentage of New Content Is AI-Generated?」(2025年4月/英語圏の新規90万ページ/著者:Ryan Law、Xibeijia Guan、Tim Soulo)。なお調査者自身が、AI検出ツールの精度は100%ではないと明記しています。
理由2:AIは「何を書くべきか」までは決められないから
二つ目は、判断の問題です。
AIは、何を書くべきかを決められません。決められるのは、渡された材料をどう並べるかまでです。
理由は明快です。AIは、あなたの院に来る患者さんが何に困っているかを知らないからです。
具体例を見ていきましょう。
私が確認したAI生成の整体院のホームページは、トップページに「◯◯式整体」と大きく掲げながら、サイト内のどこにも「◯◯式整体とは何か」を書いていませんでした。
| ページに書かれていたこと | 患者さんが知りたかったこと |
|---|---|
| ◯◯式整体という独自の施術名 | その施術が、自分の腰痛に効くのかどうか |
| 他院とは違うやり方だという打ち出し | 何がどう違い、それで自分に何が起きるのか |
ここで、腰痛で困っている患者さんの立場になって考えてみてください。
検索して、2つの院が見つかったとします。一方は「◯◯式整体」という独自の施術名が大きく掲げられているだけ。他方は、腰痛がなぜ起きるのか、どういう経過で良くなっていくのか、自分の場合はどれに当てはまるのかが、「ここまで書いていいのか」と感じるほど丁寧に説明されている。
どちらに予約が入るかは、議論の余地がないでしょう。
人は、自分にとって価値があると判断できたときにしか申し込みません。逆に言えば、判断できない時点で、価値がないと判断されたのとほとんど同じことになってしまうわけです。
これは、文章力の問題ではありません。「◯◯式整体が、誰の何を解決するのか」を説明すべきだと判断できる人が、どこにもいなかったという問題です。
Googleも、コンテンツの自己評価としてこう問いかけています。
コンテンツは、独自の情報、レポート、研究または分析の結果を提示しているものですか。
コンテンツは、実体験や深い知識を明確に示していますか。
独自の情報も実体験も、あなたの院の中にしかありません。AIがそこにアクセスする手段はないわけです。日々の問診で患者さんが何を言ったのか、どの説明で納得されたのか。そういったものを持っているのは、あなただけです。
そしてもう一つ、決定的なことがあります。患者さんが口にする希望と、本当に必要としているものは、しばしば食い違います。「とにかく早く治したい」と言う患者さんに、早く治す方法だけを答えても、根本的には良くならないことがあるでしょう。その食い違いを見抜けるのは、現場で何百人と向き合ってきた人だけです。AIは、言われたことにしか答えられません。
では、何を書けばいいのか。症状ごとのページに何を載せるかについては、治療院の集客を倍増させる症状ページのテンプレート【5つの要素】で5つの要素に分けて解説しています。
※出典:Google 検索セントラル「役立つ、信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」
理由3:AIに丸投げしたページが、負の遺産として残り続けるから
三つ目は、時間の問題です。
丸投げで作ったページは、負の遺産としてサイトに残り続けます。作った時点では損失が見えないかもしれませんが、数年後には損失が表面化し、負の遺産を片付けるのに疲労困憊することでしょう。
理由は、丸投げが質の低いページを、気づかれないまま量産するからです。
丸投げしたサイトでは、次の4つが同時に起こります。
| 起きること | 何が失われるか |
|---|---|
| 内容が薄く、独自の情報がない | 患者さんが判断できず、離脱する |
| 似た内容のページが量産される<br>(「腰痛」「ぎっくり腰」「腰の痛みの原因」が、ほとんど同じことを言っている) | サイトの中でページ同士が競合し、どれも評価されない |
| 導線や構成がユーザー体験を無視している | 予約まで辿り着けない |
| 上記のすべてに、発注した本人が気づけない | 問題が発見されないまま、年単位で放置される |
最も重いのは、4つ目です。
判断できる人がいないから丸投げしたのであって、判断できる人がいないから、出来上がったものの何が問題なのかも分かりません。アクセスが増えない理由も、予約が入らない理由も分からないまま、数年が経ちます。
そして気づいたときには、改修が非常に面倒なことになっています。
Googleは、コア アップデートの解説でこう述べています。
サイト全体(個々のページだけでなく)が有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツを提供しているかどうかを確認してください。
有益性の低いコンテンツを削除すると、サイト上の有益なコンテンツのパフォーマンスが向上する可能性があります。
裏を返せば、役に立たないページが残っているあいだ、そのページは良いページの足を引っ張り続けるということです。
私の経験では、負の遺産が溜まったサイトの立て直しは、新規で作るよりはるかに大変です。マイナスを0地点に戻すだけで、6ヶ月以上を費やすこともしばしばあります。新規なら良いものだけを積み上げていけばいいのに対して、立て直しはまず何を捨てるかの判断から始めなければなりません。あまりにひどい場合は、作り直したほうが早いこともあります。
中途半端に作るくらいなら、いま作らないという選択をしてください。安く早く作ったつもりが、数年後に作り直しのコストとして返ってきます。
※出典:Google 検索セントラル「Google 検索のコア アップデートとサイト」
品質を落としてでも、AIに任せていい2つのケース
どこまでAIに任せていいかは、たったひとつの基準で決まります。そのホームページに、品質を求めるかどうかです。
ここまでお伝えしてきたのは、品質を求める場合の話です。一方で、品質を求めなくていい場合もあります。存在させること自体が目的なら、品質にリソースを割く理由はありませんから、AIに任せる比重を上げて構いません。
該当するのは、次の2つです。
ケース1:これまでホームページをほとんど活用してこなかった場合
長く経営されているものの、ホームページは実質1ページしかない。情報の更新もほとんどしてこなかった。こういうケースです。
この場合は、作ってください。ここで必要なのは、情報がそこに存在していることだからです。1ページしかなかったものが50ページになるだけで、患者さんの目に触れる機会は増えます。
質としては平均的かもしれませんが、これまで取り損ねてきた分を取り戻すという意味で、確実に意味があります。
ケース2:開業直後で、Web集客をまだ収益の柱にしていない場合
開業したばかりで、実績も歴も浅い。広告も出していない。この段階でホームページから新規患者が増えることは、まずありません。
私自身の会社も、まさにこの状態でした。創業して1年も経っていない会社が、ホームページから集客できるとは考えていませんでしたから、会社が存在していて何をやっているのかを示す、名刺としてのホームページがあれば十分だと判断しました。集客の品質を求めていないのだから、そこに時間をかける理由がありません。
ただし、数年先を見据えて最初からきちんとしたものを作りたいのであれば、それは品質を求める側です。その場合は、品質に責任を持てる人を必ず置いてください。
以上の2つに当てはまるなら、AIに任せる比重を上げて構いません。ただし、それでも関与を0にすることだけは避けてください。
品質に責任を持つ人を置いて、AIを使いこなそう
AIでホームページを作ることは、これからさらに当たり前になっていきます。実際、すでに74.2%のページがAIを使っています。使うこと自体を否定するつもりは、まったくありません。
問題は、そのあとです。
誰でも同じように作れるようになった以上、差がつくのは、出来上がったものの中身だけでしょう。そしてその中身を決めるのは、いまのところ人間です。
参考までに、弊社の運用をお伝えします。弊社では、最終的な品質を必ず私自身が判断します。そのうえで、クライアントにも必ず判断していただきます。現場レベルの実態を判断できるのは、クライアントしかいないからです。制作会社に発注される場合は、この2つが揃っているかどうかを確認してみてください。
もしあなたが、患者さんに本当に価値のある情報を届けたいとお考えなら、品質に責任を持つ人を必ず置いてください。それはあなた自身で構いません。むしろ院のことを一番よく知っているのはあなたですから、あなたがやるのが一番いいはずです。
主体は、いつでもあなたです。そこさえ握っていれば、AIはとんでもなく強力な武器になります。
そもそもホームページは、患者さんに価値を届けるための手段でしかありません。私は良質なコンテンツを「見た人の人生の質を上げるもの」と定義しています。安く作ることに気を取られて、届けるものが空になってしまっては本末転倒でしょう。
あなたにしか届けられないものが、必ずあります。それを届けきったとき、こんなに変わるのかと驚かれるでしょう。

