治療院は回数券を導入すべきなのでしょうか?
実は、私個人の感情としては、回数券の導入は反対です。
なぜなら、体の不調を治したいと考えるユーザーのニーズは、早く治すことであって、長く通うことではないはずだからです。
しかし、現実問題としては、回数券を導入し、上手くいっている治療院が存在します。
そしてそれを求めるユーザーがいるのも事実です。
結局のところ、どうすべきなのでしょうか?
今回は、回数券の導入可否を判断するための基準を紹介します。
感情的に考えるとなかなか答えが出ませんが、論理的に考えると実はその基準ははっきりしているのです。
それではさっそく、結論から見ていきましょう。
目次
判断基準はユーザーにとってどうか?
回数券導入の判断基準は、ユーザーにとってどうか?です。
どんな理由であれ、最終的には絶対にこの結論に辿り着きます。
なぜなら、どんな商売であれ、お金を払うのは相手だからです。その相手がそれに価値を感じてお金を払うから、全ての商売は成立しているのです。
- ユーザーにとって必要であれば導入する
- ユーザーにとって不必要であれば導入しない
ただそれだけです。
これほどシンプルな結論にも関わらず、なぜこんなにも意見が分かれてしまうのでしょうか?
ユーザーが治療院に通う目的は早く治すことであって長く通うことではない
基本的には、ユーザーが治療院に通う目的は、早く治すことであって長く通うことではありません。
例えば、もしあなたが3ヶ月後にフルマラソンの予定が控えているなか、とあるランニングの帰り道、段差でつまづいて右足首の前距腓靱帯を損傷してしまったらどうでしょう?
回復までに4週間〜12週間はかかるでしょう。
仮に12週間かかると言われても、あなたはそれより早く回復させたいと思うのではないでしょうか?
なぜなら3ヶ月後にはフルマラソンが控えているからです。
要するに、上記のようなユーザーは、治療院に長く通うつもりがないのです。
早さを期待して治療院に通っているのであって、回数を固定されたいわけではありません。
だから、こういったユーザーに回数券を提案しても、ただただ嫌われてしまうだけなのです。
ところが長く通いたいユーザーも存在する
一方で、長く通いたいユーザーも存在します。
例えば以下のようなニーズを抱えるユーザーです。
- リラクゼーションを受けたい
- 日々の仕事で疲れているから毎月定期的に通いたい
- ガチガチの体をほぐしてほしい
- しかも担当者の腕が良い
- 会話も楽しい
- 雰囲気も好き
- ここに通っている事実が、自分の存在価値を高めてくれる など
定期的に通う理由があれば、回数券の販売は成立しやすいです。
例えば、次のような業種も該当します。
- ピアノ教室
- ダンス教室
- パーソナルトレーニング
- ヨガ
- ピラティス
- 美容室 など
ユーザーが、通い続ける必要性を感じていれば、回数券は導入してもいいと考えられます。
ところが治療院には、治したいユーザーもいれば、通い続けたいユーザーが存在します。この場合は、どうすればいいのでしょうか?
その回答を、3つのパターンに分けて解説します。
回数券の向き不向きを分ける3つのパターン
治療院にいらっしゃる方々は、目的に応じて3つのパターンに分かれます。
そして、どのパターンかによって回数券の向き不向きが変わります。
- 治すためのユーザー:回数券はマッチしにくい
- メンテナンスのためユーザー:回数券はマッチしやすい
- 治すため&メンテナンスのためのユーザー:なんとも言えない
このどちらに該当するかによって、回数券がマッチしやすいかしにくいかが変わります。
1、治すためのユーザー
一つ目が、治すために通うパターンです。
代表的なのは外傷です。外傷を早く治すのが目的です。
当たり前ですが、骨折を治すために回数券を買う人はいません。
骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷といった、いわゆる柔道整復師の業務範囲に当てはまる患者は、自分の怪我を早く治すことに必死です。
だから回数券は当てはまりません。これは誰に聞いても同意いただけることでしょう。
2、メンテナンスのためのユーザー
二つ目が、予防のためにメンテナンスを望むパターンです。
骨盤矯正や、姿勢矯正、生活習慣の改善、ダイエットなどがそれに該当します。
これらのユーザーは、定期的に通う必要性を感じているケースが多いため、回数券がマッチしやすいです。
こういった層にリーチできれば、一気に短期的な売上が得られます。回数券の成約率が高いからです。それをわかっているから治療院専門のコンサルタントの多くは、ダイエットメニューなどを強く推奨するのです。実力がどうであれ、そのプロモーションとオペレーションさえ治療院に実装できれば、ほぼ確実に短期的な売上が得られます。「成果報酬型のコンサルティング」を謳っている裏側では、ほぼ確実に儲かる構造が存在しているのです。
3、治すため&メンテナンスのためのユーザー
三つ目が、「治すため」「メンテナンスのため」これらの目的が共存しているパターンです。
これが非常に難しいです。
回数券がマッチするケースもあれば、そうでないケースもあるからです。
代表例は、肩こりや腰痛のような慢性痛です。
肩こり腰痛は、多くの場合、生活習慣に依存しています。
であれば、生活習慣を改善するためには、継続的な生活指導が必要かもしれません。そこまでいかなくても、姿勢性の問題を緩和するために、継続的な姿勢矯正が必要かもしれません。つまり、入口が「慢性痛を治したい」であったとしても、出口が「メンテナンスしたい」になり得るのです。
多くの治療家が回数券について賛否を巻き起こしている理由がこれでしょう。
最終的には、ユーザーにとってどうか?で判断すればいいのですが、それを見分けるのが困難だからです。
そして、その判断を見誤って経営を進めてしまうと、昨今話題に挙がっているような回数券トラブルに発展し、しまいには返金騒動や訴訟問題、倒産といった事態に発展してしまうのです。
この判断を見誤らないためにも、もう一つ決めておくべきことがあります。
回数券の導入判断を見誤らないために決めておくべきこと
結論から言えば、経営戦略をはっきりと決めることです。
言い換えれば、治療院の存在意義をはっきりすべきということです。
なぜなら、経営戦略さえ決めておけば、その基準に従って行動することで、一貫した態度が取れるからです。
一貫していないからトラブルが起きるのです。
例えば、長年かけて外傷専門でやってきた治療院が、突然煌びやかな内装にリフォームして、エステメニューを展開し始めたら、あなたはどう思うでしょうか?
まず違和感はあるし、今まで外傷で困っていたユーザーは集まらなくなるでしょう。
経営戦略とは、顧客の選択とも言えます。
誰に対して、何を届けるか。この組み合わせを決定し、それに従って経営しましょう。
回数券が必要なユーザーに対して、それに相応しいメニューを提供すると決めたなら、回数券を導入すればいいのです。
それを事前に定義して、一貫した態度を取っていれば、誰も文句は言いません。
回数券を単なる手法ではなく、経営戦略の一環として考えましょう。
そして、その経営戦略を決めるのが院長の仕事です。
最終的に価値を決めるのはユーザーである
回数券の導入可否は、ユーザーにとってどうか?という視点によって決定されます。
そして、それをあらかじめ経営戦略に落とし込んでおくべきです。
行き当たりばったりで、一貫性のない態度を取ってしまっては、十分な価値を提供できないからです。
院長として、経営者として、すぐに経営戦略を固めましょう。
